モナコ公国 華麗なる舞踏会へ 第6回(最終回) あらゆるラグジュアリーが凝縮したモナコ。7月最後の週末の夜にはその煌めきが最高潮に達します。ロングドレスで着飾った淑女がブラックタイの紳士にエスコートされて集う「モナコ赤十字舞踏会」。71年の伝統を持つ夢の舞台へとご案内します。
前回の記事はこちら>> 2030年までに温室効果ガス排出量を1990年時の半分に削減するなど、具体的な目標を掲げて「あらゆる側面で世界の規範となりうる国をつくる」という大公の夢を叶えつつあるモナコ。新しい時代の真のラグジュアリーを志す前向きなエネルギーに満ちています。
公道の街路樹で造るモナコならではのリキュール
「カジノや高級ホテルで有名になる前の時代、モナコには柑橘類がたくさん実っていたんです」と語るフィリップ・クラッツォさん。
モナコの新しい名物になるものを作りたいと、まずは歴史を紐解くことから始め、構想を温めること7年。公道のオレンジの樹の実りをおいしいリキュールとして商品化することに成功しました。
2017年、モナコ初の蒸留所のオープンには大公も臨席。2万8000個のオレンジを一つ一つ手で洗い、皮の成分から抽出した100パーセントメイドインモナコのリキュールは、高級ホテルのバーのカクテルにも使われ好評です。
フィリップ・クラッツォさん
一方で果汁を使い、3年ねかせた蒸留酒は来年リリース予定。オレンジに次いで、モナコの国の木として親しまれているキャロブ(イナゴマメ)を材料にしたリキュールも来年秋の発表を目標に製作中。オランジュリー
L’Orangeri
住所:9 Rue de la Turbie
TEL:(+377)99 90 43 38
定休日:土曜・日曜
http://orangerie.mc/ 50羽の鶏やミツバチの巣もタワーの隣に
モデルの経験もあり、時計やヨットなどリュクスなビジネスの世界にいたジェシカ・スバラグリアさんが人生の方向転換を図ったのは4年前のこと。
モナコの高層ビル群を見ながら両親の小さな菜園での子どもの頃の記憶を重ね、農業を始める決心をしたのです。
パーマカルチャー(持続可能な農業システム)を推進していたフランス人カップルのもとで学んだ後、舞台をモナコに移して実践。
世界一の高額マンションといわれる「オデオンタワー」での菜園作りからスタートし、アルベール大公財団、グレース妃病院など、次々に豊かな実りを拡大しています。
画期的な農業プロジェクト「テール・ド・モナコ」の創設者ジェシカさん。「モナコで農業だなんて最初は誰も信じませんでしたが、今ではそれがタワーの売りに」。採れたての野菜と卵がマンションの住人たちに届く。地球に優しく贅沢な時間を味わう
ホテルやレストランが提供する週末ブランチがこのところヨーロッパで人気ですが、“レスポンシブルラグジュアリー”で一歩先をゆく「フェアモント・モンテカルロ」のおすすめは、ルーフトップレストラン「ホライズン」でロゼシャンパンを好きなだけいただきながらの「ピンク サンデーブランチ」(5月〜9月)。
食材の90パーセントが地元産という地産地消はもちろんのこと、産卵期にある魚は獲らないという自然の生態系を尊重したプログラム「ミスターグッドフィッシュ」に加盟するなど、地球環境に最大限に配慮したメニューになっています。
海老や魚、肉はその場で好みのものを食べたい量だけオーダーして専属のシェフが焼いてくれるシステム。食品ロスを減らすだけでなく、新鮮な食材を最もよい形で味わえる。前菜もデザートもそれぞれ20種類以上。色も香りも滋味も豊かな地中海地方の恵みが一堂に並ぶ様は、舌だけでなく目にもご馳走。ホライズン
Horizon
住所:12Av.des Spélugues
TEL:(+377)93 30 09 00
料金:ピンク サンデーブランチ 89ユーロ~
https://www.fairmont.com/montecarlo/dining/horizon/〔特集〕真夏の夜の社交界 モナコ公国 華麗なる舞踏会へ (全6回)
◆誌面の感動を体験しに、現地へ行きませんか?◆
モナコで最も格式のある舞踏会を体験いただける現地ツアー“家庭画報の旅”を、2020年7月下旬に実施いたします。
詳しくはこちら>>表示価格はすべて税抜きです。
撮影/小野祐次 取材・文/鈴木春恵 協力/モンテカルロ・ソシエテ・デ・バン・ド・メール モナコ政府観光会議局
『家庭画報』2019年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。