世界遺産に登録されているアルブラ路線区間のハイライト、ランドヴァッサー橋。高さ65メートル、1903年竣工の優美な石橋を、スイス国旗と同じ赤色の列車「氷河特急」が渡る。遥かなるスイスアルプス
4000メートル級の山々はかつてそこに魔物がいるといわれ、畏怖の対象でした。スイスアルプスの象徴ともいえる標高4478メートルを誇るマッターホルン。
リッフェル湖の“逆さマッターホルン”。天気が変わりやすい山で、雲一つない絶景を見られるのはかなりの幸運。加えて湖面がほぼ無風でこそ得られる貴重な景色。初登頂は1865年英国の登山家によるもの。程なく、この地はヨーロッパの上流階級の人々の旅心をかき立て森林限界を超えて遥か高みにまで鉄道が敷かれ、宿が築かれていきました。
今、特別な装備も苦労もなく列車で山に登り絶景の中に身を置けるという贅沢は少しでも上へ、さらに高みへというこの地の先人たちの志と努力の賜物。手が届くかと思うほどの名峰を前に圧倒的な幸福の念がこみ上げてきます。
氷河特急「エクセレンスクラス」の窓枠にはアルプスの稜線、机の脚にはエーデルワイスをモチーフにした装飾を施すなど、土地のアイデンティティをちりばめた内装は、地元で活躍するデザイナー、クリスチャン・ハルベケ氏によるもの。