安心・安全なくつろぎを求めて プライベートを楽しむ極上の宿 第8回(全11回) 国内外を自由に旅することがままならなくなった今、真のリラックスを求めて、旅先の宿を選ぶ基準は大きく変化しています。1日1組もしくは数組の小さな宿、離れや独立したコテージが充実した宿を日本全国で探しました。小さな宿ゆえにそれぞれのコンセプトが明快な個性派揃い。厳選の10軒にご案内します。
前回の記事はこちら>> 離れの客室「森」のお風呂は天井までのガラス窓から裏山と庭が見渡せる。時間帯によって変わる景色を楽しみに、何度も入るお客さまがほとんどだとか。パノラマの庭園を楽しむ魚自慢の宿
【1日5組】ボスケージ カリヤ(神奈川・奥湯河原)
『万葉集』にも詠われた歴史ある湯治場・湯河原。なかでも名宿が軒を連ねる奥湯河原の森に、わずか5室の小さな宿が誕生しました。
その名は「ボスケージ」。英語で「森」を意味します。宿名が語るように、裏山の森から続く庭には楠、紅葉、銀杏、梅、山桜......。見事な枝ぶりの木々が四季折々の美しさを競います。
裏山を見渡すテラス席。ときどき、鹿が裏山から下りて覗きにくるという。季節のよい時期は、朝食のコーヒーとデザートはここで。もともとは戦前戦後に外交官、政治家として活躍した重光葵氏の別邸。
「大切に育てられてきた木々は一朝一夕では手に入らない宝物です」とオーナーの苅谷さん。
庭を存分に楽しんでと、全客室の窓は開放感ある大きなものに。部屋でもお風呂でも、森に抱かれているようです。
「クエのしゃぶしゃぶ お椀仕立て」は、クエのお刺し身にあつあつのおだしをかけて。ゲストの目の前で完成させる。クエのプリプリ感を味わう。温泉に浸かり、森の清々しい精気を浴びた後は、海鮮尽くしのディナーが待っています。
ご主人自ら小田原公設市場で競り落とした地魚をメインに組み立てたコースは、フレンチやイタリアンの要素も組み入れたイノベーティブな味。新鮮な驚きを潜ませた魚介料理に心躍る夜が約束されます。
オーナーの苅谷和彦さん・和美さん夫妻。ご主人の実家が鮮魚店と旅館を経営。和彦さんも自ら市場の競りに。ボスケージ カリヤ神奈川県足柄下郡湯河原町宮上683-2
TEL:0465(43)9664
基本料金:1室2名利用で1泊2食付き1名4万8000円~、「森」同10万円(ともに税・サービス料込み)
URL:
https://www.boscage.jp/IN15時/OUT11時 全5室 温泉あり
〔特集〕安心・安全なくつろぎを求めて プライベートを楽しむ極上の宿
表示価格はすべて税込みです。
撮影/阿部 浩 取材・文/北村美香(78〜83ページ)
『家庭画報』2021年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。