心癒やす温泉宿 第6回(全17回) 今、行くとしたら、どこの温泉宿なのか。温泉宿ウォッチャーの意見を伺いながら、これまでの湯宿取材と併せ、改めて真剣に考えてみました。
前回の記事はこちら>> 山あいの宿 山みず木(熊本県 黒川温泉)
「翠竹の間」の専用風呂。陶製のやわらかな肌ざわりの浴槽に、たっぷりと湯が溢れる。窓を全開にして開放感を味わいたい。自然との一体感を堪能する野趣溢れる風呂
熊本県と大分県の県境に位置する「黒川温泉郷」。鉄道駅からも高速道路からも遠く、アクセスしにくい“秘境”にありながら、全国からファンが集まります。
その理由は、深い山に抱かれた美しい景観を眺めながら良質の温泉に身を浸すことができる、野趣溢れる露天風呂。この里山の景色は、戦後杉林に置き換えられた山にクヌギやナラなどを植林し、本来の雑木林の姿を取り戻して実現したものだといいます。
しかも、“黒川温泉一旅館”という考え方のもと、30軒ある旅館の宿泊客は他の旅館の露天風呂を“立ち寄り湯”として使うことが可能。「黒川温泉郷」全体でこの温泉地を守り、盛り上げようという気概が感じられます。
窓の外に雑木林が広がり、田の原川が流れる外湯「風人の湯」。その旅館の一つ「山みず木」は、筑後川の支流である田の原川の滝を見ながら湯浴みできる露天風呂「幽谷の湯」をはじめ、7か所の外風呂を備えます。部屋付きの内風呂も含め、すべて源泉かけ流し。支配人の石川正明さんやフロントに立つスタッフが、気温や入浴人数などを勘案してお湯の流量で湯温を調節するそう。
「山あいの宿 山みず木」の本館前に立つ、支配人の石川正明さん。チェックイン・アウトの時間帯は、温泉街との無料巡回バスが運行する(現在は週末限定)。目が回るほどの忙しさですが、「この仕事が大好きなんです」という石川さんの笑顔こそが、この温泉郷の真の魅力なのかもしれません。
下のフォトギャラリーから詳細をご覧いただけます。 Information
山あいの宿 山みず木
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6392-2
- 1室2名利用時で1泊2食付き1名1万8850円〜 ご紹介した「翠竹の間」は同2万4350円(いずれもサービス料込み)〜全21室 IN15時/OUT11時
撮影/本誌・坂本正行 取材・文/露木朋子 ※入湯税や宿泊税などが別途かかる場合があります。表示されている宿泊料金は原則、シーズンの最低料金です。INはチェックイン時間、OUTはチェックアウト時間を表しています。料理は状況によって食材、盛りつけなど一部内容が変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。
『家庭画報』2022年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。