絶景の開運スポットへ 第17回(全23回) 地理風水師・御堂龍児(みどうりゅうじ)さんがすすめるパワースポットを中心に、その言葉を織り込みながら絶景を楽しみ、湯に浸かり、大地の恵みをいただく“開運旅”へ、ご案内します。
前回の記事はこちら>> 開運の旅へ「大分」
石と温泉、大地の力を体感する
臼杵→別府→耶馬溪
大分県には、臼杵や国東半島に残る磨崖仏(まがいぶつ)、切り立った岩峰が点在する耶馬溪など、石の文化、絶景が多く見られます。一方、温泉の源泉数、湧出量ともに全国1位を誇る“おんせん県”でもあり、別府、由布院をはじめ、県内各所に湯のパワーが漲っています。「石と温泉」のパワーをいただきに、いざ大分へ。
〔パワースポット〕国宝臼杵石仏 (大分県臼杵市)
4エリアに分かれる石仏群の「古園(ふるぞの)石仏」の中尊に鎮座する大日如来像。仏頭は江戸時代の地震により落下したとされ、以来、胴体の前に仏頭だけが置かれていたが、1993年に復位されて往時の姿を取り戻した。阿蘇の溶岩石を彫って作られた61体の磨崖仏
臼杵石仏周辺は、仏教における極楽浄土を模した浄土式庭園になっていたとされる。隣接する石仏公園内の約4400平方メートルもの蓮畑に、大賀蓮など5種類の蓮が7月初旬から8月初旬にかけて開花。往時を彷彿させる極楽浄土のような美しい景観となる。自然界の岩壁にさまざまな仏を彫刻した磨崖仏。石造の文化財で知られる大分県には、全国の磨崖仏の約8割が現存します。なかでも、その白眉が平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫像された臼杵石仏。阿蘇山の噴火によって堆積した軟質の凝灰岩に、丸彫りという手法で彫られた石仏は計61体あり、そのすべてが国宝に指定されています。
とりわけ高さ2・8メートルの大日如来像は、臼杵石仏の中心的存在。如来、菩薩、明王、天部を両脇に従えて中央に鎮座しています。その表情は柔和でありながら威厳があり、身をかがめて拝顔すると御仏と目が合い、こちらの心を見透かされるような感覚に。
「ここには古の人が真剣に石仏に思いを向けてきた感覚、そして人々の願いをきいていた力が今も確かに残っています」(御堂龍児さん)。
確かに石仏を彫った彫刻師たちは神や仏にいのちを託し、人々の幸福と末永い土地の繁栄を願って一心不乱に岩を削ったのでしょう。臼杵石仏の芸術的な景観から、岩を宿す大地の力、人々の信仰心の尊さを見た気がしました。
参拝ルート最初の「ホキ石仏第二群」には小さめの仏像が並ぶ。元来、臼杵の石仏群は黒みの強い凝灰岩のため、白く塗った上に赤、黄、緑などの顔料で着彩されていた。雨の日には残った色が湿度を得て浮かび上がるという。 Information
国宝臼杵石仏(こくほううすきせきぶつ)
大分県臼杵市深田804-1
取材協力/御堂龍児 撮影/大泉省吾 取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2022年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。