日本の絶景神社巡り 第8回(全19回) 心の平安と開運を祈願して、『古事記』ゆかりの神様に会いに行く、わが家に神様をお迎えする、という2つのアプローチで日本の神様と真摯に向き合います。
前回の記事はこちら>> 鵜戸(うど)神宮[宮崎県日南市]【安産・子宝】
目の前に広がる太平洋の碧さとダイナミックな白波、そして朱塗りの対比が美しい鵜戸神宮。「鵜戸神宮には、阿吽の獏など神仏習合の名残が至るところに残されています」と中原さん。本殿でその形跡を確認してみたい。豊玉姫命ご出産の洞窟に鎮座する
「鵜戸(うど)さん」の名で親しまれる鵜戸神宮。日向灘に面した断崖絶壁の洞窟の中に朱塗りの本殿が鎮座しています。
神社には石段を上って参拝するところがほとんどですが、珍しいことに、こちらは階段を下りていく「下り宮」。本殿がある洞窟は彦火火出見命(ひこほほでみのみこと)の妻、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)の出産場所とされる神話の舞台であり、安産、育児、夫婦円満などを願う人々の心の拠り所として、古くから信仰を集めています。
また、うさぎとご縁が深い事で知られる鵜戸神宮の神使は「うさぎ」。神使とは、その名のとおり神様の心を代行して現世と接触する使者の動物のこと。
それがうさぎとなったのは、御祭神である日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)の「鵜」が「卯」に転じたためとの説があります。本殿のある洞窟奥には、撫でると病気平癒・開運飛翔などの願い事が叶うとされる「撫でうさぎ」の像や、うさぎの絵馬など鵜戸神宮ならではの縁起物が迎えてくれます。
鵜戸神宮ゆかりの「撫でうさぎ」。健康への思いを込めて撫でてみたい。鵜戸神宮では絵馬もうさぎの形。参拝や縁起物を通して開運につなげるには「心静かにお参りすること。それには早朝がおすすめです。特に12月、1月は日向灘を望む鳥居の中央から美しい朝日を拝めますよ」と権禰宜・中原慎太郎さん。2023年の干支のパワーをいただきに、いざ鵜戸神宮へ。
ほの暗い洞窟の中に建つ本殿。まるで胎内にいるような神秘的な雰囲気をたたえている。裏側には、日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)が産湯を使ったという場所も祀られている。権禰宜さんの開運ことば神道で「けがれ」とは単に汚いという意味だけではなく「気枯れ」、気持ちが枯れる状態をいいます。手水や福注連縄で身を清めて気枯れを回復し、神社のエネルギーをいただきましょう。(権禰宜·中原慎太郎さん)
下のフォトギャラリーで詳しくご紹介します。 Information
鵜戸神宮
宮崎県日南市大字宮浦3232
- 【主な御祭神】日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)、大日孁貴(おおひるめむち=天照大御神)、天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)、彦火瓊瓊杵尊(ひこほににぎのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、神日本磐余彦尊(かむやまといわれひこのみこと) 【御神徳】安産・子宝・子どもの健やかな成長、海上安全・大漁満足・剣法発祥の聖地 「海積宮(わたつみのみや)」から戻り、身重となった豊玉姫命は鵜戸の地に赴き、子・日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)(御祭神)を産むが、元の姿であるワニの姿で産んでいたのを夫に見られ傷心の果てに海に帰ってしまう。子の長い名は産屋の屋根を鵜の羽根で葺き終わらないうちに誕生したことから命名されたと伝えられる。
撮影/本誌・西山 航 取材・文/冨部志保子 ●特集内の表記、ふりがなは各神社、著者の指定に準じます。
『家庭画報』2023年1月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。