福井県越前町の砂浜に突如現れた不思議な生命体。オランダ人アーティスト、テオ・ヤンセンさんが越前和紙を用いて生み出した傑作です。その誕生の裏には、1500年の歴史を持つ和紙の里の誇りを懸けた挑戦の物語がありました。
北海に面したオランダの町からやってきたストランドビーストが佇むのは、日本海を望む越前町。人口約2万2000人の小さな町ながら、越前がにや越前焼を目当てに訪れる観光客も多い。“現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ”と初のコラボレーション!越前和紙の新たな挑戦
黄色いプラスチックの骨組みに越前和紙でできた大きな帆。平坦な地面で風を受けると、生きもののように歩き出す驚きの構造。「ストランドビースト(オランダ語で“砂浜の生命体”を意味する造語)」は、国際的アーティスト、テオ・ヤンセンさんの作品です。物理学の知識とアートを融合させていることから、彼は“現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ”とも呼ばれています。
30年間、改良を重ねながら造り続けている目的を「自分がこの世を去った後も、砂浜で生き抜いていける新しい生命体を完成させること」と話すテオさん。そのために追究しているのが雨や風、砂への耐久性で、帆の部分には通常、雨風に強いパラシュート用の布を使用しています。
そんなテオさんが越前和紙を使うことを快諾したのは、日本の伝統工芸へのリスペクトから。誕生した2体の作品は福井県が日本で初めて保有するストランドビーストで、2019年9月21日から始まる「テオ・ヤンセン展 in ふくい&クラフトエキシビジョン」(詳細は
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日本で保有するのが初めてなら、和紙を使ったビーストも初めて。記念すべきコラボレーションになりました。
●ストランドビーストが風を受けて、オランダの砂浜を疾走する様子は圧巻!ぜひご覧ください↓