京都市の北郊、2万4000平方メートルの森の中に誕生した「アマン京都」。自然との調和、日本建築へのオマージュを感じさせる宿泊棟、レストラン棟などが敷地内に点在する。【アマン京都】
森、石、水に囲まれて過ごす心清らかな一日
世界中のセレブリティを魅了するラグジュアリーホテルブランド「アマン」が2019年11月に日本で3番目となる「アマン京都」をオープンしました。
京都・鷹峯の山麓、森の中にひっそりと佇み、市街の喧騒と一線を画す非日常の世界を創出しています。
森に溶け込む宿泊棟。4棟はそれぞれ1階、2階に分かれて24室。高台に1組1棟利用のパビリオン棟が2棟建つ。モダンな中に木の温もりや畳の快適さを取り入れた日本らしさが漂うミニマルなインテリアデザイン。苔むした石畳や舞台のような巨石、楓や杉の樹々、山の泉から湧き出る小川のせせらぎ——。
前所有者の西陣織物商の主人が約40年の歳月をかけて育んだこの安息の庭は、かつて「紙屋川庭園」と呼ばれていました。
鬱蒼とした“森の庭”に誰もが癒やされ、忘れつつある自然を愛でる感性や、自身の中に眠っているエネルギーを呼び覚ましてくれます。
広々とした檜風呂を配し、シャワーブースも完備するバスルーム。バスアメニティは檜の香りのオリジナルを使用。この景観を最大限に尊重したミニマルな建物をデザインしたのは環境と調和する作品で知られる建築家、ケリー・ヒル氏。
モダンな中に日本旅館の伝統や京都らしさを取り入れ、すべての客室に畳や床の間、浴室には檜風呂を配しています。
石垣の上に建つ241平方メートルの広さの「鷲ケ峯パビリオン」のリビングルーム。窓からは眼下に庭の自然、遠くに比叡山が見渡せる。壁一面の窓には森の緑が広がり、高台に建つ「鷲ヶ峯パビリオン」からは遠くに比叡山を一望。古都の郊外で心静かな時間を過ごすことができます。
木洩れ日の美しいダイニングデッキ「和」では、気候のいい時季には朝食やアフタヌーンティーが楽しめる(パビリオン棟の宿泊客優先、別料金、要予約)。朝食は地元の卵や牛乳を使った洋食、京都ならではのおばんざいや豆腐などが並ぶ和食から選べる。木洩れ日の降り注ぐ デッキでの朝食は格別
広大な敷地には4つの宿泊棟と二つのパビリオン棟、スパ棟などが森に溶け込むように点在し、ダイニングデッキの「和なごみ」など庭のオープンスペースでは、よりプライベートなひとときに浸れます。
海外で研鑽を積んだ鳥居健太郎総料理長のセンス溢れる「ザ・リビングパビリオン by アマン」のアラカルト。伊勢海老のスープをかけて味わう「リゾピラフ」2人前8000円と「京鴨ロースト」200グラム5000円。“その地でしか体験できない感動をもたらす”というアマンのスタイルは2つのレストランにも反映。
「ザ・リビングパビリオンby アマン」ではイノベーティブなコースからおばんざいも楽しめる和朝食、和菓子に見立てたスイーツを揃えるアフタヌーンティーまで幅広く味わえます。
厳選した地元や近郊の素材を使い、鷹峯の野菜や調味料、敷地内で収穫した食材も随所に使われます。
日本料理「鷹庵」の3万5000円の会席より。旬の魚介が盛られたお造り「鯛、鮑、伊勢海老」。また日本料理店の「鷹庵」では旬の味覚をふんだんに取り入れた正統派の京料理が、カウンターや個室などで楽しめます。
「京都吉兆」に23年に勤めた三田紘司料理長が中心となり、旬を取り入れた料理がコースで出される。鷹峯は稀代の芸術家、本阿弥光悦が創作を行った芸術村があった地。往時を彷彿させる静けさ、木の葉が風にそよぐ音、鳥の声に身をゆだねると、森全体に息づく、すべてが健やかになる“気”が、体の中に満ちてくるように感じられます。
Information
アマン京都
京都市北区大北山鷲峯町1番
- [基本料金]1室2名利用で1泊1室11万円〜。ご紹介した「鷲ヶ峯パビリオン」は1室4名利用で80万円〜(いずれも税・サービス料別)。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/小林廉宜 取材・文/西村晶子
『家庭画報』2020年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。