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アレックス・カーさんがひと目で虜に。霧の立ち込めるおとぎの国のような祖谷(いや)渓

2020.06.22

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春夏秋冬雄大な景色を旅する 日本の絶景遺産 第3回(全13回) 豊かな自然に恵まれた日本には、絶景の名にふさわしい、感動を呼ぶ風景が数多くあります。未来に伝えたい“絶景遺産”を美しい写真でご紹介、今改めて“美しい国、日本”をお届けします。前回の記事はこちら>>

外国人著述家が愛する
“次世代に伝えたい風景”


日本に残る自然と調和した歴史ある町並みや昔ながらの民家、手つかずの原生林……。外からの目が、私たちに気づかせてくれます。それが、世界でも類を見ない、かけがえのない美しい風景であることを。

祖谷のかずら橋祖谷のかずら橋はシラクチカズラで作られていて、3年毎に架け替えが行われる。

一目で虜になった

おとぎの国のような祖谷渓
【徳島県・祖谷】
──アレックス・カーさん


最初に祖谷(いや)を訪れたのは、1971年の夏だった。

国内で最も急な斜面の渓谷で、田んぼを作ることもできない。人々は道路から1時間ほど歩いた斜面に茅葺屋根の家を建てて暮らしていた。霧が立ち込めた渓谷は、まるでおとぎの国のようで、私は一目ぼれしてしまった。

ひの字渓谷山間を流れる祖谷川が大きく蛇行して「ひの字渓谷」を作り出している。

2年後、祖谷渓にあった築300年の農家を購入し、「篪庵(ちいおり)」と名付け、少しずつ修復した。この秘境に建つ農家が私の日本での活動の中心地となった。

篪庵篪庵の縁側からの眺め。

その後、他の民家8軒も改修し、訪れた人々が宿泊できるようにした。

現在は京都の亀岡に住んでいるが、祖谷に帰るたびに、この神秘的な風景にうっとりする。ここには、日本のどこにもない、美しい夢のような風景が広がっているのだ。

アレックス・カー「落合集落」を背に。

アレックス・カー
アメリカ・メリーランド州生まれ。東洋文化研究者。主な著書に『美しき日本の残像』、『ニッポン景観論』など。

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〔特集〕春夏秋冬雄大な景色を旅する 日本の絶景遺産(全13回)

写真/アイノア=河口信雄、縄手英樹

※誌面で紹介した絶景は、季節や気象条件などにより見られない場合があります。ご了承ください。
『家庭画報』2020年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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