毎週月曜日に配信している連載「迷い世代の服選び」。毎月の最終週は、スタイリストおおさわ千春さん流の “物との付き合い方”から、より豊かにファッションを楽しむヒントをお届け。今回は、お気に入りのスニーカーを綺麗に長く履き続ける方法をご紹介します。
前回の記事を読む>>第4回 スニーカーもお手入れできることを知っていますか?
「お洒落は足元から」というように、その日の装いを靴から決めることが多い私。靴はコーディネートのみならず、歩き方や姿勢にも大きな影響を与えますし、お気に入りの靴を履いているとお出かけの時もアクティブな気分になりますよね。自分の一日の行動が靴で決まる、といってもよいかもしれません。
颯爽と歩けるということは、年齢を重ねれば重ねるほど大事なこと。だからこそ、自分の足に合っていて、これを履いていると安心!と思える靴と出会えたら、大切に長く履きたいものです。靴に限らずですが、すぐに買い替えてしまうよりも、しっかりと選び取ったものと長く付き合うほうが、知的で大人なスタイルだと私は思います。
〈左〉マクラメ編み風のアッパーが印象的な一足。「伸縮性のある素材で、まるで履いていないかのような密着感。クッション性も抜群で歩きやすいんです」9万1300円/トッズ(トッズ・ジャパン) 〈右〉「クラシックな形のレザースニーカーですが、シャープなつま先がフェミニンな雰囲気を醸し出します。綺麗めなコーディネートにもおすすめ」6万8200円/ジミー チュウ若い頃はハイヒールや革靴が足元の定番でしたが、最近はほぼ毎日スニーカーを愛用しています。中でも大好きなのは真っ白いスニーカーなのですが、お気に入りほど履く頻度が高い分、汚れやすくなるものですよね。
足元は常に綺麗に、と思いつつ、ことスニーカーに関してはどうすればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。ですが、汚れてきたからとせっかく出会えた愛用品を手放してしまうのはやはりもったいない!
最近では、スニーカーにも革靴のようにお手入れのプロがいることをご存じですか? 今回は、これまでの連載でお伝えしてきた「服選び」から派生して、皆さんが持つお気に入りと長く付き合っていくためのヒントをご紹介します。
スニーカー専門クリーニングの世界的パイオニア
「ジェイソンマーク」へ
ハイブランドのスニーカーは、特にデリケートな素材使いのものやデザイン性が高いものがしばしば。自分で洗うのは不安という人も多いと思います。そんなときに頼りになるのが、専門のクリーニングサービスの存在。
2022年1月に日本初の旗艦店がオープンした「ジェイソンマーク」は、ロサンゼルスで生まれたプレミアムシューケアブランドで、世界初のスニーカー専門クリーニングサービスを開始。最大の特徴は「スニーカーケアテクニシャン」と呼ばれる職人が、1足1足丁寧にクリーニングを行ってくれることです。
スニーカーケアテクニシャンの山口隆行さん。十分な訓練と経験を積み、本国に認められて初めて店舗でのクリーニングを任せられる。「スニーカーの汚れ方は持ち主のライフスタイルによって違います」と山口さん。例えば子どもとよく公園へ出かける人なら砂埃が、バイクに乗る人ならエンジンオイルなどがつくように、スニーカーの状態は人それぞれ。だからこそ、「持ち主からのヒヤリングと、スニーカーの状態確認には時間をかけ、要望をしっかりとくみ取ってから施術を行っています」
クリーニングで使うのは、独自開発の洗剤です。スニーカーはゴムやレザー、ナイロンなど、多種多様な素材で構成されていますが、そのほとんどすべてに対応できるというから驚き! デリケートな素材も傷めずに洗える理由は、ココナッツオイルをはじめとした100%天然由来の成分で作られているから。環境や肌に優しいという点もうれしい特徴です。
工程の基本は、洗剤とブラシを使って地道に汚れを落とし、拭き取っていくこと。特殊な洗濯機などがあるわけではなく、すべて手作業で行います。「どうしても時間がかかりますが、スニーカーを傷めず、お客様の納得いくクリーニングを行うには、自分の感覚を頼りに、手作業で洗浄しなければなりません」
しつこい汚れには合成繊維毛のブラシ、スエードやヌバックには豚毛のブラシなど目的によって道具を使い分け、洗剤の濃度も微調整することで、そのスニーカーにとって最適な方法で洗い上げていきます。
標準的なコース「パープ スペシャル」4800円 では、スニーカー表面のほか靴底や靴ひもをクリーニング。抗菌作用のあるフレグランススプレーで仕上げる。靴の内側のクリーニングや靴底についたガムの除去など、希望によってオプションを追加することもできる。預けてから受け取るまでは基本的に3日ほど。「汚れがついたらすぐに落としたい!」という人は、店舗でのクリーニングに使用するのと同じ洗剤やブラシなどを購入することもできます。ちょっとした汚れなら十分自宅でケアすることができますよ。
〈手前右〉クリーニングの基本となる洗剤「プレミアムディープクリーニングソリューション」236ml 2530円。〈手前左〉硬くて丈夫な合成繊維毛を採用し、しつこい汚れの洗浄に効果的な「スタンダードクリーニングブラシ」1320円。〈奥〉洗剤(118ml)とブラシがセットになった「エッセンシャルキット」2530円は初めての人におすすめ。スニーカーはもはや履きつぶすものではなく、自分の人生を共に歩む靴。革靴をメンテナンスしながら大切に履き続けるように、スニーカーにもぜひ愛情を注いでみてください!
●お問い合わせ
トッズ・ジャパンフリーダイヤル 0120-102-578
ジミー チュウフリーダイヤル 0120-013-700
Information
JASON MARKK TOKYO
(ジェイソンマーク トウキョウ)
東京都渋⾕区神宮前4-32-7
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/大見謝星斗、武蔵俊介