「ジュエリーの真髄」を知る 第10回(全14回) 美術館や博物館で観るような歴史的な芸術品から、日々を彩る日常使いの輝きまで……。美しいジュエリーには、夢や希望を与え、人々の心を潤す圧倒的な力があります。学び、愛で、そして楽しむ。ジュエリーの真髄を知れば、私たちの人生はもっと心豊かなものになることでしょう。
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Harry Winston(ハリー・ウィンストン)── キング・オブ・ダイヤモンド
ダイヤモンドの美をシンプルに引き出した洗練のコレクション
創始者ハリー・ウィンストンがヒイラギのクリスマスリースから着想を得たとされるコレクション。生い茂る葉を思わせるダイヤモンドが、プラチナの白さによって存在感を増しています。「クラスター」ネックレス(Pt×ダイヤモンド計48.789ct)5973万円 「クラスター」イヤリング(Pt×ダイヤモンド計12.05ct)3828万円/ともにハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション)ダイヤモンドを愛して幾多の伝説を残した比類なき偉人のDNA
アメリカ、ワシントンDCにあるスミソニアン自然史博物館に足を運んだことのあるかたは、豪奢な宝石が綺羅星のように並ぶ「ハリー・ウィンストン・ギャラリー」をご覧になったことでしょう。
この部屋にはフランス王ルイ14世ゆかりのブルーダイヤモンド「ホープ」をはじめ、国宝級のレアストーンが展示されています。
45.52ct、ファンシーダークグレイッシュブルーのダイヤモンド「ホープ」。米国民への贈り物としてハリー・ウィンストンが寄贈した至宝。数々の歴史的至宝をスミソニアンに寄贈したのはハリー・ウィンストン。彼はミュージアムに個人名を残す唯一のジュエラーでもあります。
宝石のよしあしを見抜く鋭い感性を持つ少年だったハリー・ウィンストンは、24歳の若さで会社を立ち上げ、1932年、36歳のときに自らの名を冠したブランドを創始。並外れた才覚を発揮し、一代にして誰もが認める世界屈指のジュエラーとなって、キング・オブ・ダイヤモンドと称されました。
ハリー・ウィンストン・ギャラリーの白眉「チョーク・エメラルド」リングはかつてマハラジャの妃が所有していたとされる逸品。726.6ctもの巨大な原石「ヴァルガス」。ここから29個の上質なダイヤモンドが生まれました。左から、「ウィンストン・ブルー」、「レソトⅠ」、「ウィンストン・ピンク・レガシー」。彼が考案したアイコニックな「クラスター」は、マーキスやペアシェイプなどのダイヤモンドが輝く洗練されたコレクション。
あまりにも深くダイヤモンドを愛していたことから、石よりセッティングが目立つことを嫌い、ダイヤモンドだけでジュエリーができているかのように仕立ててみせたのです。
まさにレジェンドと呼ぶべき創始者ハリー・ウィンストン。そのカリスマ性ゆえに、今もとびきり上質なダイヤモンドが、このジュエラーのもとに世界中から集まってくるのです。
ニューヨーク5番街の本店は現在改装中。【1932年創業 創業者:ハリー・ウィンストン】●ハリー・ウィンストン本店[Harry Winston Flagship Salon]701 Fifth Ave. New York, USA
●ハリー・ウィンストン銀座本店東京都中央区銀座1-8-14 TEL:03(3535)6441
表示価格は税込みです。
撮影/Fumito Shibasaki〈DONNA〉 スタイリング/阿部美恵 取材・文/本間恵子
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。