「ジュエリーの真髄」を知る 第11回(全14回) 美術館や博物館で観るような歴史的な芸術品から、日々を彩る日常使いの輝きまで……。美しいジュエリーには、夢や希望を与え、人々の心を潤す圧倒的な力があります。学び、愛で、そして楽しむ。ジュエリーの真髄を知れば、私たちの人生はもっと心豊かなものになることでしょう。
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Boucheron(ブシュロン)── 革新を求めて
モダンに再解釈されたロッククリスタルの澄んだ煌めき
パヴェセッティングされたダイヤモンドの上に花の彫刻を施したロッククリスタルを重ねたリング。上はセンターパーツを取り外せるマルチウェアジュエリーです。新作「ニュー マハラジャ」コレクションより、上・「ニュー マハラニ クリスタル」リング(WG×ロッククリスタル×ダイヤモンド)2758万8000円 下・「ニュー パドマ クリスタル」リング(WG×ロッククリスタル×カショロン×ダイヤモンド)1386万円(ともに参考価格)/ともにブシュロン(ブシュロン クライアントサービス)創造と革新により未来を切り拓くヴァンドーム広場の名門
トップジュエラーやウォッチブランドが軒を連ねるヴァンドーム広場の中でも、「ブシュロン」はとりわけ先見の明に優れたメゾンといえるかもしれません。
「ロストフ」ネックレス。白い大理石のモザイクのように見える部分は、アスペンウッドと呼ばれる木をカットして象嵌したもの。2017年2018年に発表された「フルール エターナル」は、本物の花をスキャンして3Dプリンターで成形して作られたリング。
「フルール エターナル」より、パパラチアサファイアをセットした「ピヴォワンヌ アヴィ ヴァルネル」リング。2019年2021年はロッククリスタルに溶かした金属をスプレーした「ホログラフィック」をお披露目し、ジュエリーシーンにセンセーションを巻き起こしました。
ロッククリスタルに虹色の光を放つ加工を施した「ホログラフィック」ネックレス。センターストーンは大粒のイエローサファイア。2021年歴史あるこの名門には驚くようなエピソードも残されています。1928年、インドのパティアラ藩王国からパリにやって来たマハラジャは、鉄の金庫を従者たちに運ばせて本店を来訪。
金庫にぎっしり詰まっていたのは、数千のダイヤモンド、エメラルド、ルビー、真珠。これらを存分に使い、最高級にして最新の宝飾品を仕立てよとのマハラジャからの注文を受け、ブシュロンは149点もの壮麗なネックレスやターバン飾りを考案したのです。
2022年の新作「ニューマハラジャ」は、このときのデザイン画をもとにモダンに再解釈したコレクション。メゾンが古くからハイジュエリーに用いてきた素材、ロッククリスタルも駆使し、現代的なアレンジを加えながら伝統とモダニティの融合を追求しました。
新作「ニュー マハラジャ」コレクションより、エメラルドネックレスのデザイン画。センターパーツは取り外してブローチとしても使用可能。まるで錬金術師のように、これまで存在しなかった美をクリエイトするブシュロン。未来を先取りする先見性が、このメゾンの大きな魅力となっています。
ヴァンドーム広場には1893年に移転。【1858年創業 創業者:フレデリック・ブシュロン】●ブシュロン本店[Boucheron Vendôme Boutique]26 Place Vendôme, Paris, France
●ブシュロン銀座東京都中央区銀座5-4-4 TEL:03(5537)2200
撮影/Fumito Shibasaki〈DONNA〉 スタイリング/阿部美恵 取材・文/本間恵子
『家庭画報』2022年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。