毎週月曜日に配信している連載「迷い世代の服選び」。毎月の最終週は、スタイリストおおさわ千春さん流の “物との付き合い方”から、より豊かにファッションを楽しむヒントをお届け。今回は、お洒落な手元を作るジュエリーとネイルのコーディネートをご紹介します。
前回の記事を読む>>第8回 手元を美しく、自分らしく彩るジュエリーとネイル
「あ、この人素敵だな」と思わせる人に共通点があるとすれば、それは装いにこだわりやポリシーがうかがえることだと思います。
中でも私が一目置いてしまうのは、手元を美しく、自分らしくコーディネートしている人。何気ない会話や食事の場面でも、手は本人が意識している以上によく動き、目に入るものですし、実は洋服よりも強く印象に残る部分なのではないかと思います。
手元が美しいということは、全身の末端にまで意識が行き届いているということ。爪の先まで自分のスタイルを持ってお洒落を楽しんでいる人は、やっぱり素敵に見えるものです。
連載ではこれまでにも多くのジュエリーをご紹介してきましたが、今回は指先を彩るネイルカラーとの関係にフォーカス。愛用のジュエリーをより輝かせ、素敵な手元を作るヒントをお伝えします。
日常に溶け込み、洗練された印象に
グレージュのネイル
私はほぼ一年中同じグレージュのネイルポリッシュをつけています。ちょっと色を変えてみようかな、と思うことはありますが、いろいろと試しているうちに最終的にはいつもの色に……。それは私にとってもっとも落ち着く色であり、大好きなグレーやネイビーの服に合う色だから。目立ちすぎず、かつ洗練された印象に導いてくれます。
「存在感のあるアクセサリーを重ね付けするときにも、グレージュのネイルは主張しすぎず、どんな色の服にも合わせてくれるのです。普段から身につけているシルバーやパールにもよく映え、互いを引き立て合ってくれます」。シルバーの蓋のネイルポリッシュは愛用する「OPI」のもの。シャツ23万1000円/ジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン) ブレスレット、ネックレス、イヤリング(すべてスタイリスト私物)ハレの日の手元を華やかに彩る
赤いネイルとゴールド
会食やパーティなど、ちょっと特別なシーンでは、手元も一段華やかにして気分を上げたくなりますよね。そんなとき、私はゴールドのジュエリーとともに赤のネイルポリッシュを取り入れます。赤とゴールドはとても相性がよく、一気に華やいだ雰囲気にしてくれる名コンビ。ポイントは手元を主役にすえ、背景となる服はシックなものをセレクトすること。黒いドレスも素敵ですが、強い印象に見えてしまうことも。ネイビーと合わせることでコントラストが和らぎ、品よくまとまります。
「ジュエリーを主役にするならネイルまでネイビーで揃えるのも素敵。色数を減らすことでゴールドの輝きがさらに際立ちます」。ブラウス14万3000円/ミカコ ナカムラ(ミカコ ナカムラ 南青山サロン) 時計138万6000円 リング〈上〉62万1500円、〈中〉66万5500円、〈下〉48万9500円/すべてブシュロン(ブシュロン クライアントサービス) バングル、クラッチバッグ(ともにスタイリスト私物)20年以上通い続けるネイルサロン
「ロングルアージュ」
手元のお洒落にネイルサロンは欠かせない存在ですよね。あちこちのサロンを試す方もいらっしゃいますが、私がおすすめしたいのは、ここぞという一店舗に通い続けること。サロンは人と触れ合い、コミュニケーションをとることで心癒やされる場所でもありますし、通ううちにネイリストもその人らしさやファッションの好みなどを理解して色を提案してくれるはず。
私が20年以上通い続けているのは、東京・広尾にある「ロングルアージュ」。
プライベート感を重視した、洗練されていながらも心休まる店内は、世界的デザイナー・内田 繫氏の設計によるもの。穏やかに差し込む日光と四季折々の植物のしつらいが、清潔感にあふれた空間を演出する。きっかけは、いつもネイルを綺麗にしている友人からの紹介でしたが、当時はまだ爪のお洒落自体が今ほど一般的ではなく、サロンの数も少ない時代。それよりさらに以前から業界をリードしてきたロングルアージュはまさにパイオニア。女優をはじめとした感度の高い人たちから厚い信頼を集めています。
この日もいつもと同じグレージュをチョイス。サロンには常に3000本にも及ぶネイルポリッシュが用意されているので、好みや気分に合うものが見つかります。ロングルアージュの特徴は、創業から40年以上一貫して素の爪を美しく育む施術を行っていること。色を乗せる前のケアは爪の根元の刺激にもなり、定期的に通ううちに爪の形が整っていきます。色の好みは人それぞれですが、健康的な爪の美しさは共通する価値観ですよね。飾り立てるのではなく、自分自身のポテンシャルを引き出してくれることが、大人から支持される理由だと思います。
白シャツの中に大粒のパールとシルバーを効かせた普段のスタイル。グレージュのネイルが控えめながらも色のアクセントに。迷い世代以降は、人としての厚みや迫力が増していく時期。服選びとも共通することですが、自らを飾る要素は上手に引き算をしていって、自分らしさやこだわりを際立たせるのが成熟した女性のお洒落のコツ。装いも手元もその人の“生きざま”として映ってしまうものだからこそ、“いつも綺麗にしている”を心がけましょう。
●お問い合わせ
ジョルジオ アルマーニ ジャパン
電話 03-6274-7070
ミカコ ナカムラ 南青山サロン
電話 03-6427-2435
ブシュロン クライアントサービス
フリーダイヤル 0120-230-441
Information
ロングルアージュ 広尾店
東京都港区南麻布4-1-29 広尾ガーデン4階
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。
雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
表示価格はすべて税込みです。 撮影/大見謝星斗、伏見早織 撮影協力/ロングルアージュ