第25回 マチュアな女性が辿りつく、マニッシュウォッチ「パシャ ドゥ カルティエ」
今、私が普段気兼ねなくつけるデイリーウォッチとして欲しいなと思っているのが「パシャ ドゥ カルティエ」。「いつかこんな時計が似合う女性になりたい」と憧れる「一生もの時計」よりは等身大で、今の自分にしっくりくる、そのままの自分を受け入れてくれる「毎日のパートナー」という感じでしょうか。
この時計が欲しいと思うようになったのは、実はここ数年のこと。この時計の存在は昔から知っているのに、どうして今、手に入れたいと思うようになったのか――その背景には「女性としての意識の変化」があるのです。
1943年にスペシャルオーダー品として登場したモデルが、1985年に男性用ウォッチ「パシャ ドゥ カルティエ」としてデビュー。時代とともに女性にも受け入れられていきました。© Cartier迷い世代より、少し“お姉さん”な私ですが、年齢を重ねるにつれ、フェミニンなスタイルよりはマニッシュなほうが自分らしいと感じることが増えてきました。例えば、スカートよりもパンツ、ハイヒールよりもフラットシューズやスニーカー、シルクブラウスよりもリネンのシャツ……というように。ファッションも「人間力」で勝負すればいいじゃない、そんなふうに思える余裕が出てきたからかもしれません。
頑張らなければならない服は時には疲れてしまうもの。年を重ねればなおさらです。限りある体力は、できるだけ仕事に費やしたいですし、特に仕事の場面では、女性を意識せずにいた方が、自分が楽でいられると思えるようになってきたのです。
40代半ばくらいまでは「タイトスカートにピンヒール」がトレードマークで、華奢なジュエリーウォッチを愛用していましたが、50代以降、自然とメンズライクな服を選ぶようになりました。服装が変化したのに合わせて、俄然気になりだしたのが「パシャ ドゥ カルティエ」。ユニセックスなビッグフェイスが今の私のスタイルになじみつつ、カルティエならではのラグジュアリー感が年相応の「格」を添えてくれる、今の私にとって「旬」な時計です。それでは、具体的に私が惹かれるモデルをご紹介していきましょう。
気負わずデイリーに楽しめる
ユニセックスなビッグフェイス
80年代に誕生し一世を風靡、2020年に生まれ変わった「パシャ ドゥ カルティエ」。主に4つの点が進化することで、デザイン性が高まり、デイリーに使いやすくなりました。
1つ目は、サファイアブルーのリューズカバーの下にリューズが隠され、リューズ自体にブルースピネルもしくはサファイアがセットされていること。2つ目は、ケースバック越しにムーブメントを見ることができること。3つ目は、リューズカバーを開けた中にイニシャルをエングレービングできること。4つ目がワンプッシュでブレスレットを付け替えることができるインターチェンジャブルブレスレットを採用したこと。時計を買うと、もう1本別ストラップがついているので、洋服や気分に合わせて、ストラップを手軽に付け替えられるのがいいですね。
ケースサイズはいくつか種類がありますが、私が惹かれているのは、大ぶりでシンプルなデザインのモデル。時間がひと目でわかる視認性の高さも魅力です。
おおさわさんが「リアルに欲しい!」という2本。「パシャ ドゥ カルティエ」〈右〉ユニセックスな41㎜径は厚みもあり、重厚感が感じられるデザイン。ダークグレーアリゲーターストラップ付き。(YG、自動巻き、径41mm)237万6000円 〈左〉ボーイズサイズと呼ばれる35㎜径。ネイビーアリゲーターストラップ付き。(SS、自動巻き、径35㎜)88万円 トリンケットトレー6万940円/すべてカルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)フェミニン派におすすめの
スポーティラグジュアリーなモデル
「パシャ ドゥ カルティエ」らしいスポーティさがありつつ、華やかさも欲しいという方におすすめしたいのが、こちらの2本。30㎜径は、大ぶりのアクセサリーにも負けない存在感がありつつ、デイリーに使いやすいサイズ感。ジャケットやワンピースなどキレイめの服にも合いますし、Tシャツとデニムのカジュアルスタイルにも映えるグラマラスな時計だと思います。
スポーティな軽やかさがありつつ、女らしい華やぎも兼ね備えたデザイン。「写真のようなクラシックなワンハンドルのバッグと合わせても素敵」。「パシャ ドゥ カルティエ」〈右〉艶やかなレッドアリゲーターストラップに、ケースを取り巻くダイヤモンドが女らしいデザイン。グレーアリゲーターストラップ付き。(PG×ダイヤモンド、クォーツ、径30㎜)257万4000円 〈左〉ダイヤモンドをあしらった格子柄のグリッドは、取り外し可能。レッドアリゲーターストラップ付き。(PG×ダイヤモンド、クォーツ、径30㎜)298万3200円 バッグ34万5400円(日本限定) スカーフ5万820円/すべてカルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)50代は、「女性としてのスイッチ」をトップギアから徐々に減速していく世代です。体や心の変化を受け入れながら、ゆっくりと「人間力」を高めていく、そんな時期なのだと思います。
人として格好よくありたい、凛としていたい、その気持ちを代弁してくれるのが「パシャ ドゥ カルティエ」であり、ようやくこの時計が似合う年になったのだな、ということが嬉しいのです。時計って、その時々の自分の「在り方」を反映し、未来の自分へと導いてくれる存在だなとつくづく思います。
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