オーラを放つ時代の主役たち 第4回(全6回) その圧倒的な存在感、目が離せなくなる仕草や笑顔……。時代をリードし、活躍する人々の輝く姿を、写真家、篠山紀信さんが撮り下ろしました。素顔が垣間見られるインタビューとともにお届けします。
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衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。「久しぶりの紀信さんとの撮影は緊張と集中の場。刺激的でした」
独特の色気と強烈な存在感。主演、助演すべての役にインパクトを与え、作品の成熟度を高める演技派俳優、柄本 佑(たすく)さん。映画にドラマに舞台にとご活躍の日々ですが、篠山紀信さんとの撮影は「とても緊張しました」。
柄本さん曰く、「見られるのはやっぱり怖いこと。芝居をやればやるほど怖さ、難しさが増しています。カメラを通して、表層の奥にある人間そのものを見られていると思うので。紀信さんならなおさらです。でも、何かを生み出し、動かすうえでは欠かせないんですよね。緊張、怖さこそ大切で、面白いのだとも思います」。
丁寧に言葉を選び、考えながら紡ぐ姿に誠実なお人柄が伝わってきます。お父さまは柄本 明さん、お母さまは角替和枝さん(2018年逝去)、弟さんは柄本時生さん、お姉さんも映画製作関連のお仕事に従事という、まさにエンターテインメントご一家に生まれた柄本さん。奥さまは俳優の安藤サクラさんです。
「10代、20代の頃は本当に話しませんでした。だいぶ自意識過剰だったんです。結婚したこと、娘が生まれたことで変わりましたね。自分が一番ではないというある種の心地よさを感じるようになったら、人にどう思われるかあまり気にならなくなりました」。
数年前までは、父であり師匠でもある柄本 明さんに、自分の演技を見られるのが苦手で苦痛だったといいます。
「今も、家族に見られるのがいちばん怖くて緊張します。でも、父には見てほしいと思うようにもなりました。やっぱり母ちゃんが亡くなったことは大きいかもしれないですね。うちの親父、あんな感じなのですが、僕たち家族の出演作を見るのが嬉しいらしいんです。それなら、何をいわれてもいいから見てもらおうかなと。とはいえ、見る目線は厳しいんですけどね」と苦笑い。
2023年1月には初めて監督した短編連作集『ippo』が公開されました。俳優と監督、それぞれの魅力をお聞きすると「俳優は学びの場、監督業は夢」。
どんな役にも人間の悲哀や愛おしさを滲ませる信頼の置ける俳優、小学校の卒業文集にも書いた「将来の夢、映画監督」、どちらも期待しています!
衣装の詳細はフォトギャラリーで解説。柄本 佑1986年東京都生まれ。映画『美しい夏キリシマ』(2003年公開)で主演デビュー。『きみの鳥はうたえる』、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ともに2018年公開)などでキネマ旬報主演男優賞ほか受賞。『空白を満たしなさい』、『初恋の悪魔』などテレビドラマへの出演多数。『ハケンアニメ!』(2022年公開)ほかでヨコハマ映画祭助演男優賞など受賞。2023年3月公開の映画『シン・仮面ライダー』、2024年大河ドラマ『光る君へ』などが控える。 表示価格はすべて税込みです。
撮影/篠山紀信
スタイリング/望月 唯 ヘア&メイク/星野加奈子 取材・文/小松庸子
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。