人生を彩る時計メゾン 「オーデマ ピゲ」 ラグジュアリー・スポーツウォッチ......。いま時計業界で最も影響力のあるキーワードです。そのルーツを探っていくと辿り着く一本の腕時計。それが「オーデマ ピゲ」の「ロイヤル オーク」です。
前回の記事はこちら>> 一族経営を続けるスイス・ジュウ渓谷の重鎮
奇才が遺したラグジュアリー
誰も超えられない偉大すぎるパイオニア
フランスとの国境に近いスイスのジュウ渓谷は、世界を代表する時計メゾンが集まる高級時計の聖地。最も長い歴史を誇り、その中でも中心的な存在なのが「オーデマ ピゲ」です。
現在でもオーデマ家とピゲ家が経営を支える、一族経営が続いている数少ない老舗。世界で初めてトゥールビヨンの腕時計を作ったことで有名ですが、時計コレクションとして最も成功したのが「ロイヤル オーク」です。
1972年4月15日に初代が誕生。デザインを手がけたのは、時計界のピカソと称される奇才、故ジェラルド・ジェンタです。ロイヤル オークは、八角形のユニークな形状が最大の特徴。
知的な印象を与えながらシャープさや力強さもロイヤル オークはケース径37ミリまでがレディスモデル。ゴージャスなピンクゴールドのケースに組み合わされたのは、深みのあるグリーンダイヤル。そこに刻まれた格子状の立体的なタペストリー装飾も、初代モデルから続く伝統的な意匠です。ビスだけではなく、リューズの形も多角形で統一。「ロイヤル オーク オートマティック」(PG×ダイヤモンド、ケース径37ミリ、自動巻き)792万円/オーデマ ピゲ ジャパン当時、ネジやビスが目に見える部分に設計されることはタブーとされていましたが、彼はあえて六角形のビスを八角形のべゼルにデザイン。しかもゴールドケースではなくSS(ステンレススティール)ケースとして発表したことで、高級時計の概念を覆しました。
高級時計の概念を覆した腕時計ゴールドウォッチ中心に展開してきた高級時計ブランドが、スポーティで上質なスティールウォッチを作るという、ひとつの指針となった時計。2022年の50周年を機に、これまでプリントだったブランドロゴが立体的なパーツに変わるなど、デザインがリニューアルしました。ブレスレットもバックルに向かって細くなるタイプとなり、フィット感が向上しています。「ロイヤルオーク オートマティック」(SS×ダイヤモンド、ケース径34ミリ、自動巻き)374万円/オーデマ ピゲ ジャパン現在、「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」というカテゴリーが、時計界を席巻していますが、このジャンルを最初に打ち立てたのが、オーデマ ピゲのロイヤルオークなのです。50年を経た現在も、ほとんど姿を変えることなく、時計ファンを魅了し続けています。