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〈連載〉学ぶ、楽しむ、体験する……YMギャラリーを通して、さまざまな女性たちとの輪が広がっていく

2023.06.27

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デカマリと素敵な仲間の45年 私たちのニッポンファッション革命

天然素材を美しい色合いに染め上げた着心地のよい服で愛されるブランド「ヤッコマリカルド」をはじめ、さまざまな事業を手がけている「ワイエムファッション研究所」。渡邊万里子会長は80代にして今も、感度の高い発信を続ける“ファッションビジネス界のレジェンド”です。日本発のお洒落を元気づけてきたエピソードを連載で伺います。前回の記事はこちら>>

Vol.17 素敵な女性たちとの信頼の輪


子供たちが小さかった頃の週末は、キャンプやドライブというアウトドア的な過ごし方だったけれど、同時期に万里子がコーラスサークルにもいたと言ったら少し意外に感じるだろうか?

シルビア会の「サムシング」―――それがコーラスチーム名。かつて目白にあったシルビアというフレンチレストランに集まっていた仲間たちを基に派生した活動だ。

イブニングドレスで集ってみると……


「『シルビア』は銀座のママだった方がオープンしたレストランということもあり、その人脈で実にさまざまな人が集っていました。デザイナーのモリヨーコ(森 陽子)を介して私もシルビアへ通うようになったのですが、彼女も目白に『フルール』という素敵なブティックを経営していました」


ヤッコマリカルド
ヤッコマリカルド「フルール」は後にヤッコマリカルドを扱うブティックとしてリニューアル。オープニングパーティでは、ヨーコがお客様をモデルにセンス良く着せ付けたファッションショーを開催。大好評でファン層がグッと広がった。写真下、右端から万里子、アヤさん(吉岡絢子・後述)、ヨーコ、ヤッコ。

「やがて『フルール』に集う仲間で持ち寄りのお茶会を開くようになりました。毎回ただ飲むだけなのもなぁと思って『何かしてみよう』と私から提案。意外にも、コーラスをやりたい!という意見が多かったので、私は歌う側ではなく、まとめ役に回ることにしたのです」

ヤッコマリカルド白いスーツでキメた「サムシング」の男声パートのメンバーたち。1991年12月に開催された第2回お披露目会にて。

混声合唱団のサムシングは年に1度きちんとお披露目を行った。その際、女性はイブニング、男性はフォーマルジャケットで正装するルールも課して、皆でドレスアップも楽しむことに。メンバーの子供たちには言わば“デビュタント”の場にもなり、当時まだ学生だった狩(カリ)や、ワイエムファッション研究所の若い職員たちも参加させて社交を実践的に学ばせる機会にしたという。

忙しくとも“学びの場”を共有したいという思い


「おセツさん(小林節子:元フジテレビアナウンサー)とはシルビア会の頃からのおつきあい。2003年にヤッコマリカルド本社の3階にYMギャラリーをオープンし、展示会以外の企画を広げたくて彼女にトークショーの開催を持ちかけてみたのです。モリヨーコがベルコモンズでファッションショーをした際に司会もこなしていたおセツさんは、お洒落な方々を魅了する“洗練された話術”の持ち主。思ったとおりトークショーは大好評でした」

ヤッコマリカルドおセツさんこと小林節子さん。森陽子さんのファッションショーをきっかけに万里子との親睦も深まった。

YMギャラリーでの学びのトークショーは、おセツさんのトーク&マナー講座にとどまらず、歯学博士かつ料理研究家の田沼敦子さんの「取り寄せても食べたいもの」トーク、エッセイスト関 容子さんの「歌舞伎フォーラム」など多岐にわたって展開。企画の閃きは万里子であったが、各フォーラムの運営責任を担っていたのはアヤさん(吉岡絢子)だ。

ヤッコマリカルド田沼敦子さんのトークショーにて。

ヤッコマリカルド「取り寄せても食べたいもの」を実際にお客様と一緒に食べながら交流を深める場面も。画面左はラフォーレ原宿店のカリスマ店長、宮本幸枝さん。

「ヤッコマリカルドを創業してすぐの頃、若者に人気の“手染めが見事なカジュアルシャツのブランド”としてTBSの番組で取り上げられたことがあるのです。そのディレクターの奥さんだったのがアヤさん。知的で人当たりもよい彼女は、とても料理上手でシルビア会にいつもおいしい手料理を持参してくれていました」

アヤさんはかつてファッションの仕事に携わっていたこともあり、ご主人亡きあと、子供たちも独立したタイミングで万里子が声をかけ、ワイエムファッションでの広報のサポート業務に加わってもらった。11年ほど、主にリカルドのアシスタントをこなし、フォーラム開催のニュースレターを発行するなど、縁の下の力持ちとしてイベントの些事をテキパキと遂行。シルビア会からのご縁が、頼もしく進化した形といえるだろう。

ハンサムウーマンたちを魅了するブランドに


本社にギャラリーとブティックの両方を置いていた時期、ヤッコマリカルドは「サロン」としての傾向を強めた。フォーラムは登壇者と共に季節のお菓子をいただくティータイムを必ず挟んで構成されていたし、お買い物にいらっしゃるお客様も茶菓子でおもてなし。ゆったりとヤッコマリカルドの世界に浸っていただけると好評だった。

一方で、そういった“ゆったり派”とは対極というか、つむじ風のようにピュッと訪れ、あっという間に服を決めて大量購入していくツワモノさんもいた。そう、自由になる時間がなかなかない職種の代表、芸能の世界にいる方々だ。

潔さで群を抜いていたのは歌手の由紀さおりさんだという。テレビやステージではセンスのよいドレス姿が印象的だけれど、「とてもサバサバとして少年のような方。身体を鍛えていると仰ってましたが、本当に背筋がピンと美しくて。似合うものをよくご存じでセレクトの決断もとても早い」とのこと。

ヤッコマリカルド小物づかいも素敵な着こなしの市原悦子さん。銀座で開催したトークショーにて。

「市原悦子さんもお洒落な方でした。地方での公演先でたまたまヤッコマリカルドのブティックを知り、東京に戻ってすぐにいらしてくださった、それが最初です。役を演じていらっしゃるときとは違う可愛らしい素顔をお持ちでした。当時まだ店舗数も多くはなかったのですが、映画の衣装協力などをしていたので、スタイリストや衣装さんを介してヤッコマリカルドを知ったの、といらっしゃる芸能人の方は多かったのです。ラフォーレ時代には、あの人込みの中を国民的アイドル歌手だった方や、演歌歌手の水前寺清子さんが私服でいらして、ものの5分で何着もセレクトしてサッとお帰りになった、なんてこともありました」

ロンドンのケンジントン店、かつての広尾店にも通じるが、大使館が多くて国内外の要人やセレブリティがサッと寄りやすいロケーションを捉え、ヤッコマリカルドは実に見事な店舗展開をしてきた。

“ゆったり派”にも“つむじ風派”にもぴったり寄り添うヤッコマリカルド。時代とともに活躍する女性のライフスタイルを掴んでいるからこそ、求められているスタイルを提案できるのだ。

次回からは、“女性の躍進とヤッコマリカルド”にフォーカスを当ててお話を伺います。どうぞお楽しみに!

Information

ヤッコマリカルド公式オンラインショップ

E-mail onlineshop@ym-fashion.co.jp
“今”を自由に生きる人が、その個性を素敵に輝かせられるように。1977年創立の「ヤッコマリカルド」は心地よく着られる天然素材にこだわり、絶妙な美しい色合いの染めはもちろん、こまやかなピンタックなどの手仕事を軸とした丁寧なものづくりをしています。装う人の年齢を超越するような、リラックス感を伴ったモードスタイルに出会えます。 URL:https://www.yaccomaricard-online.jp/

渡邊万里子(わたなべ まりこ)

ヤッコマリカルド デカマリこと渡邊万里子
「ワイエムファッション研究所」会長。「ヤッコマリカルド」では、ロンドンを拠点にヨーロッパ、中東のクウェート、アメリカはニューヨークと国外にも商品を展開。タイの自社工場を中心に海外に工場を複数持ち、グローバルに活躍している。1938年(昭和13)北海道小樽市生まれ。84歳の今も元気に、プライベートな時間にはインナーマッスルのトレーニングジムへ通う。“発想のスケールが大きなマリ”という意味でいつしかニックネームは「デカマリ」に。明るく豪胆な人柄を慕うファン層が、業界や年代を超えて広がっている。

公式Instagram: @dekamari_ymfashion

写真提供/ワイエムファッション研究所 取材・原稿/大杉美氣

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