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ダイヤモンドの美しさとブランドの価値。良いダイヤモンドジュエリーとは何か?

2023.07.20

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名門ジュエラーの技と矜持の結晶 ダイヤモンドの “傑作” を知る 第3回(全9回) 地球の誕生とともに何億年もの歳月を重ねて生み出された宝石。その王者たるダイヤモンドは、いつの時代もその輝きで私たちを魅了し続けてきました。今、最高品質のダイヤモンドを惜しげもなく使ったハイジュエリーの傑作が『家庭画報』に集結。その現代的価値と魅力を、宝石史研究家の山口 遼さんが解説します。前回の記事はこちら>>

ダイヤモンドの美しさとブランドの価値について


文・山口 遼 (宝石史研究家)

現代のジュエリーの世界で、価格的にも数量的にも、最も重要な素材はダイヤモンドです。しかし、歴史的にみますと、そうなったのは1860年頃以後のこと、それ以前には産出する量があまりにも少なかったために、数量的には色石や真珠の後塵を拝していました。

ダイヤモンドがある程度自由に使えるようになり、それと並行して様々なカットが発明され、最終的にはブリリアントカットが定着して以後、宝石の王者はダイヤモンドとなりました。今、最も使われているのはラウンドブリリアントと呼ばれるもの、ダイヤモンドの輝きが最も美しいとされるカットです。


輝きというのは、難しくいいますと、全屈折、全反射、どの角度からでもダイヤモンドに入った光線が、反射と屈折とをくりかえして、表面から光が出るために起きる現象で、このほかにもプリズム効果による虹色の光や、表面からの反射などが混じり合って放たれる複雑な光彩。この輝きこそがダイヤモンドを宝石界の唯一の王者にしているのです。

【関連】山口遼さんの連載「ジュエリーお買い物学」

古代、唯一のダイヤモンド産出地であったインドの人々は、ダイヤモンド同士を擦り合わせると研磨できることを知っていましたが、その希少さを知っていたために、研磨によって石が小さくなるのを異常に嫌いました。恐らく、彼等にとって、ダイヤモンドは、美しさよりも、その異様なまでの硬さからくる神秘性を大事にしたものであったと思います。

事実、ローマ時代に西欧に渡ってきたダイヤモンドは、装身具というよりも、魔術の道具として扱われたようです。やがて西欧のどこかで、その輝きに美しさを見出し、研磨が始まり、今日のブリリアントカットや石の形や個性を生かした様々なカットが生まれるに至るのです。

では良いダイヤモンドジュエリーとは、どのようなものか。今回ご紹介しているような近代のダイヤモンドジュエリーは、大別して二つに分かれます。一つは、大きな石を中心に据えたもの。いわゆる大粒のダイヤモンドを使ったジュエリーの場合は、中心の石の品質で、価値がほとんど決まります。

あくまでも私見ですが、資産価値のあるダイヤモンドは、2、3カラット以上、DあるいはEカラー、クラリティでは VVS1以上のものではないでしょうか。しかも、大事なのは、買うときに海外の鑑定業者が書いた書類が付いていることです。日本の鑑定業者や販売店の麗々しい書類は全く無意味で役に立ちませんからご注意を。

一方、比較的小さなダイヤモンドだけを使ったジュエリーでも、使ったあとも価値の残るジュエリーがあります。それは、いわゆるブランドジュエリーと呼ばれるものです。今、世界にはグランメゾンと呼ばれる大宝石店が10軒弱ほどあります。ではブランドとはなにか?

これもあくまで私見ですが、ブランドとは、自己判断をしなくて済むための基準ではないでしょうか。つまり、ジュエリーを買おうと思ったとき、使われている宝石は本物か、良質か、作りは完全で壊れないか、修理はしてくれるのか、値段は高過ぎないか、などということを、買い手側が自分で判断しなくとも安心して購入できるもの、それが本当のブランドなのです。

こうした本当のブランドは、お客様には見えないところで、膨大な努力を重ねています。特に優れた宝石を買うための宝石店同士の競争、ユニークなデザイナーを見つけ出すこと、今ではどんどん数が減っている作り手の名人を確保すること、さらに製造責任を示す刻印、アフターサービスの完備、ケースや包装紙のデザインに至るまで、気が遠くなるほどの大仕事です。そして、そうした努力の結果が、デザインを見ればあの店の作品だとわかる、メゾンのアイコン的なジュエリーを生み出すことにつながっているのです。

いかがでしょうか、ジュエリーとは使って楽しむものです。使って存分に楽しんだあとで、さらにそれを換金できるなら、これほど良い商品は無いでしょう。しかし、それはあくまで結果であって、それを目的にしてジュエリーを買われても、結果、希望がかなうという保証は残念ながらありません。どうか美しいダイヤモンドをどんどん使って下さい。それで美しい人が増えれば、世界もより美しく楽しくなるのではないでしょうか。
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