スタイリストのおおさわ千春さんが大人の女性が手にすべき「本物」をご紹介する新シリーズがスタートします。ご自身の体験談をもとに、迷い世代の日常に必要な“ブランドの力”をどう取り入れるべきかを指南いただきましょう。第1回は、おおさわさんも大ファンだという、ディオールのアイコンバッグ「レディ ディオール」をご紹介。
レディ ディーライト(ミディアム)/PHOTO:POL BARIL〔迷い世代の服選び〕
40代にこそ効く「ブランド力」
第1回 ディオール
「おおさわさんの、お気に入りのブランドのアイコンバッグって何ですか?」 スタイリストをしていると、こんな質問をよくいただきます。決して少なくない額のお金を払うからには、この先ずっと愛用していけるバッグを買いたい――そんな思い、よくわかります。
“名品”と呼ばれるバッグにはそれぞれ理由がありますし、実際、私もいくつかの“名品”を手にしてきました。その中で、私が胸を張って“これ!”とおすすめできるのが、「レディ ディオール」です。
ダイアナ元妃は、
「シーンレスで持てるバッグ」の開拓者
私が初めて「レディ ディオール」に出合ったのは、30代前半の頃。当時、ディオールのアーティスティック ディレクターを務めていたジャンフランコ・フェレの大ファンだった私は、ジャケットとお揃いのグレーのフラノ地で作られた「レディ ディオール」に一目惚れして購入。
ほぼ同時期に、様々な場所でこのバッグを愛用するダイアナ元妃の写真を目にするように。英国の皇太子妃がフランスメゾンのバッグを堂々と手にする姿に「なんて素敵なの!」と感激し、ダイアナ元妃のように格好よく「レディ ディオール」を持ちたいと憧れるようになりました。
ⓒAlpha Press/amanaimages実は、ダイアナ元妃は、パリのグラン・パレで開催されたセザンヌ展を訪れた際、シラク前大統領夫人から贈られたディオールのバッグを気に入り、同シリーズのバッグを様々なバリエーションで注文したとのこと。もともとは、別の名前がつけられていたバッグは、1996年にダイアナ元妃への敬意を込め、元妃の承認のもと「レディ ディオール」と改名されたのだそう。
私が驚いたのは、ダイアナ元妃が、時にエレガントな装いに、時にカジュアルな装いにと、幅広いコーディネートに「レディ ディオール」を合わせていたこと。それまでは「普段着用のバッグ」と「フォーマル用のバッグ」は別々という認識が当たり前でしたし、両方をカバーするバッグは、ほぼなかったように思います。
しかし、ダイアナ元妃の装いはその垣根を越え、「どんなスタイルにも合うバッグ」という存在を私に教えてくれたのです。
こちらが、 定番のブラック。「一つ目に手に入れる“レディ ディオール”なら、冒険するよりも、定番のブラックが断然おすすめ」とおおさわさん。