スタイリストのおおさわ千春さんが大人の女性が手にすべき「本物」をご紹介するこの連載。ご自身の体験談をもとに、迷い世代の日常に必要な“ブランドの力”をどう取り入れるべきかを指南いただきましょう。第25・26回は、自ら「コート大臣」と称するほどコートが大好き!というおおさわさんが、長年愛用しているマックスマーラをご紹介します。
〔迷い世代の服選び〕
40代にこそ効く「ブランド力」
第25回 マックスマーラ
秋も本番。店頭にコートが並んで、そろそろ今年の1着を探したいなぁ、という気分になる季節になりましたね。実は私は、「コート大臣」を自認するほどコートが大好き! 思い入れがありすぎて断捨離ができず、たまりにたまって、コートだけでハンガーラックが3台以上あり……あまりに多すぎてクローゼットからはみ出しているのが悩みです(笑)。
今までに数えきれないほどコートを着てきた中で、気がついたら一番多いのがマックスマーラだったのです。
ダブルフェイスのネイビーのコートは、4年ほど前に購入。「こんなふうにオールネイビーにするときは、首元にパールをすると顔色が明るく見えます。ネイビーは、大好きなグレーとも相性がいいので、インナーをグレーにして着ることも。薄手のダブルフェイスですが、とてもあたたか。どうしても寒い真冬には中にダウンベストを着ています」。(すべておおさわさん私物)マックスマーラが日本に上陸した1989年は、丁度私がスタイリストを始めたくらいのタイミング。初めてキャメルのコートを見たとき、あまりの美しさに胸が高鳴り、頑張って手に入れたのを皮切りに、30代前半以降はコートといえばマックスマーラばかり。以来、気に入ったものを少しずつ買い足しながら、今でも大切に着ています。
「メイド・イン・イタリー」の礎を築き
コートを軸に成長したブランド
マックスマーラのコートの魅力は、気負わずに着られて、人生を一緒に歩いてくれるところ。何年経っても古さを感じさせないオーソドックスなデザイン、上質な素材、丁寧な仕立て、ちょっとしたニュアンスから漂う品の良さ……着るたびに「いいコートだなぁ」としみじみ。何より、作り手が自信を持って作っていることが伝わってくるところに気持ちが動いて、やっぱりまた欲しくなるんです。
ロング丈のチャコールグレーのコートは3年前から愛用。「グレーのワントーンが少し寂しいときには、エミリオ・プッチのスカーフを衿元に。バッグは、スカーフに入っている一色を拾い、ネイビーを選ぶことが多いです」。(すべておおさわさん私物)マックスマーラは、1951年にイタリアのレッジョ・エミリアで創業。創業者のアキーレ・マラモッティの曾祖母は19世紀中頃からオーダーメイドの高級婦人服店を経営、母もテーラリングと縫製技術の学校を設立するなど、常に服飾に携わってきたファミリーでした。
1953年当時の広告ビジュアル。オートクチュールからプレタポルテへ。創業者アキーレ・マラモッティの時代を読む目は正確なものでした。アキーレは、コートに特化したビジネスを思い立ち、「ファッションは手仕事によるもの」という当時のイタリアの認識を覆し、工場生産に踏み切って、プレタポルテのビジネスを確立したのです。これが世界で大成功し、マックスマーラの「メイド・イン・イタリー」のコートが大流行。
1995-96秋冬の広告ビジュアル。スーパーモデル、クリスティ・ターリントンがコートをまとう姿に多くの女性が憧れました。日本でも一大ブームになったので、皆さんもマックスマーラのコートに憧れたことがあるのではないでしょうか?