スタイリストのおおさわ千春さんが大人の女性が手にすべき「本物」をご紹介するこの連載。年末年始スペシャルとして、幸運を運ぶラッキーアイテムをお届けします。今回は、サルヴァトーレ フェラガモの人気コレクション「VIVA」から、サステイナブルな素材で作られた新作をピックアップしました。
前回の記事はこちら>> 〔迷い世代の服選び<番外編>〕
40代にこそ効く「ブランド力」
第36回 サルヴァトーレ フェラガモ
今年は新しい生活様式が求められる中で、ファッションも以前とは違う視点から選ぶようになった方も多いと思います。働き方も変化し、誰かに見せるためよりも自分の気持ちが上がるもの、身につけていて快適なものを選ぶようになった方が多いのではないでしょうか?
足元に関しては、テレワークのためにノートパソコンなどを持ち歩く機会も増え、フラットシューズやスニーカーなど、歩きやすくて足に優しい靴の人気が高くなっているようです。どんな靴を履くかは、気持ちに大きく影響するので、やはりこだわって選びたいですよね。
「VARA(ヴァラ)」よりも、リボンが大きくなり、ポインテッドトゥと浅めの甲でモダンな印象に仕上げた新作の「VIVA(ヴィヴァ)」。アッパーは透けるニット、リボンにはリサイクルポリエステルを使用。シューズ内部もエコフレンドリーな素材からできており、ラバーソールもナチュラル素材を使うなど、サステイナブルを意識した1足。「伸縮性があるニットが、締め付けずに足を包み込んでくれるので、私のような外反母趾に悩む人でも履きやすいと聞きました。春先からは、素足に履いて、足元に抜け感を出したいですね」。靴「VIVA」(ヒール2㎝)7万9000円 スカーフ4万8000円/ともにサルヴァトーレ フェラガモ(フェラガモ・ジャパン)私自身もスニーカーは履きますが、やはり素足にフラットシューズというスタイルのほうが、女らしい気持ちが高まると思います。2021年に向けて、「デザイン性も履き心地もパーフェクトな靴」として、私がおすすめしたいのが、サルヴァトーレ フェラガモの「VIVA」の新作です。
数々の「靴の原型」を作った
伝説のシューメゾン
「靴のパイオニア」として今やその名を知らぬ人はいないほどの人気を博す、サルヴァトーレ フェラガモ。
1927年にフィレンツェで創業、第2次世界大戦中、皮革や金具など、靴を作る上での物資が不足した際、コルクを使用した靴を発案し、ウェッジソールの原型に。また、靴の甲部分にセロハンや透明なナイロンを使用した「見えない靴」を発表し、ファッション界のオスカーとも言われる「ニーマン・マーカス賞」を受賞するなど、誰もが考えつかなかった素材やデザインで、画期的なスタイルを生み出してきた創意工夫のブランドです。
1942年にデザインされたMarcellaは、多彩色セロハンをストライプ柄にかぎ針編みしたものを、アッパーに施したサンダル。第2次世界大戦中にキッドスキンが不足していたとき、サルヴァトーレ・フェラガモ氏が母親にプレゼントしたチョコレートの箱に使われていたセロハン素材を細い紐にすることを思いつきました。ファシズムによる専制政治の時代、イタリアは国際社会から経済制裁を受けていました。ちょうどその頃1936年に作られたJokerは、レイヤードのコルクヒールの麻製のサンダル。当時の政権が栽培を許可した麻や、軽さと安定をもたらすコルクなど、それまで靴に使うことなど考えられなかった素材を、次々と取り入れたフェラガモは、まさに靴の世界のパイオニアでした。足の細部に至るまでサイズを計測し、木型を作ってから靴を制作するという手法もフェラガモが作り上げたもの。足の構造に基づいた靴作りは現在にも受け継がれており、デザインのみならず、履きやすさでも申し分なしのシューズなのです。