世界中に愛されるその秘密 ルイ・ヴィトンのある暮らし 第4回(全14回) 旅にまつわるラゲージからその歴史を始めた「ルイ・ヴィトン」。その後、ファッション、ジュエリー、アートと、常に時代を牽引し、新しいライフスタイル “文化”を作り上げてきました。ルイ・ヴィトンが、なぜこれほど世界中の人々から愛され続けるのか。創業者の生誕200周年を迎え、さらなる進化を続けるその魅力を、パリ特別現地取材を含めご紹介します。
前回の記事はこちら>> ©️ARCHIVES LOUIS VUITTON PHOTO BONNEY ©️ARCHIVES LOUIS VUITTON SEEBERGER時代を牽引し続けてきたルイ・ヴィトン。物作りの原点は旅にあり
創業から常に、旅とともに進化を続けてきた、ルイ・ヴィトン。馬車、船、列車、自動車……移動手段の変化や顧客の要望に応えて手がけてきた美しく、丈夫で、快適なアイテムの数々がメゾンの姿勢を語ります。
誰にもコピーできないモノグラム柄
©️COLLECTION LOUIS VUITTON PATRICK GRIES©️ARCHIVES LOUIS VUITTON人気とともに偽物対策に悩まされたルイ・ヴィトン。父の志を継いだ2代目のジョルジュ・ヴィトン(上写真)は1896年、「LV」のイニシャルに星と花を組み合わせた「モノグラム・キャンバス」を考案し、商標登録を行いました。
コピー防止に加え、ひと目で自分のトランクと識別できるオリジナルの柄は、現在に至るまでメゾンを象徴するアイコニックな柄としてさまざまな製品にあしらわれています。
蓋が平らで積み重ねられる、新しい発想のトランク
©️ARCHIVES LOUIS VUITTON馬車での旅行が主流だった時代、トランクの蓋は雨に晒されても水滴が垂れるよう、丸みを帯びて設計されていました。
しかし創業者のルイ・ヴィトンは交通機関が発達し、船や機関車での旅が始まると、積み上げることができる蓋が平らなトランクが主流になると予見。1858年最初の平型のトランクを発表し大きな評判を呼びました。
クローゼットごと旅に出られるワードローブ・トランク
©️ARCHIVES LOUIS VUITTON MALLETIERボリュームのあるドレスをしわにすることなく収納できるトランクでナポレオン3世妃ウジェニーをはじめ宮廷女性たちの支持を得たルイ・ヴィトン。1875年に発表された「ワードローブ・トランク」は文字どおり、洋服簞笥がそのままトランクに。
衣類を吊るしたまま、また畳んで引き出しごと運べるといったモードに寄り添う収納は、その後も進化を続けながら現在まで受け継がれています。上写真は「ワードローブ・トランク」が描かれた1910年頃のルイ・ヴィトンの広告。
こじ開けられない頑丈な錠前
©️ARCHIVES LOUIS VUITTON MALLETIERルイ・ヴィトンは旅の安心を支える鍵の開発にも、早くから取り組んできました。1890年に特許を取得したオリジナルの錠前「ポワティエ」は2つのスプリング式バックルと5枚ばねからなる堅牢な仕組み。錠の一つ一つに対応する鍵の番号が付され、それはそのまま、トランクごとに割り振られた唯一無二の番号として管理されています。
名作はここから生まれた? 動くライブラリー
©️LOUIS VUITTON MALLETIER冒険的な人生と作品で知られる作家、アーネスト・ヘミングウェイ。彼は自身のための理想のトランクを、3代目のガストン-ルイ・ヴィトンにオーダーしました。
秘密の引き出しと仕切りを備え、まるで書斎がそのままトランクになったような「ライブラリー・トランク」は1927年に完成。その後ヘミングウェイは旅に出るたびに愛用したといわれます。
畳んで収納できるソフトな素材のバッグ
©️ARCHIVES LOUIS VUITTON ©️COLLECTION LOUIS VUITTON/LAURENT BREMAUD/LB PUBLICATION船旅の時代、乗客たちは洗濯物を袋に入れて客室のドアノブに掛け、クリーニングに出していました。1901年、ガストン-ルイ・ヴィトン(上写真)はこのランドリーバッグに着想を得て「スティーマー・バッグ」を発表。
ソフトな素材でトランクに収納してもスペースをとらず、広げれば大容量であることに加え、レザーストラップとパドロック(錠)でしっかりと閉じることのできる安全性にもメゾンのDNAが息づいています。
折り畳みベッドを収納できる冒険のパートナー
©️musée du quai Branly, photo Patrick Griesルイ・ヴィトンが創業、発展した19世紀~20世紀初頭は未知なる土地への冒険旅行が行われた時期でもありました。1905年、ピエール・サヴォルニアン・ド・ブラザはルイ・ヴィトンに折り畳み式のベッドが納まった「ベッド・トランク」を注文。アフリカ大陸を探検した冒険家に敬意を表し、ルイ・ヴィトンのウォレットにその名が冠されています。