世界中に愛されるその秘密 ルイ・ヴィトンのある暮らし 第10回(全14回) 旅にまつわるラゲージからその歴史を始めた「ルイ・ヴィトン」。その後、ファッション、ジュエリー、アートと、常に時代を牽引し、新しいライフスタイル “文化”を作り上げてきました。ルイ・ヴィトンが、なぜこれほど世界中の人々から愛され続けるのか。創業者の生誕200周年を迎え、さらなる進化を続けるその魅力を、パリ特別現地取材を含めご紹介します。
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創始者ルイ・ヴィトン誕生から201年目、新しい時代に踏み出した老舗メゾンが未来へ開く扉とは?伝統と革新をモットーに、挑戦を恐れないその精神がこれからも見せてくれるであろう美と歓びの世界に胸が高鳴ります。
ニコラ・ジェスキエール1971年南仏生まれ。97年にバレンシアガのクリエイティブディレクター就任。2013年11月にルイ・ヴィトンのウィメンズアーティスティック・ディレクターに。14年3月パリで初コレクションを発表。©Collier Schorr「ルイ・ヴィトンは
革新と未知の世界への探検を象徴する存在です」
Nicolas Ghesquière(ニコラ・ジェスキエール)
1854年の創業以来、卓抜した価値を提供するラグジュアリーのあり方を革新し続けてきたルイ・ヴィトン。高品質のトランク、バッグ類を中心としたブランドのスタイルは絶えず発展を遂げてきましたが、LVMHグループ傘下となった1987年以降、新時代の扉が次々と開きます。
1997年に初のウィメンズのプレタポルテショーを発表。ファッション界に大きな変化をもたらしたルイ・ヴィトンのウィメンズ・コレクションは2013年に現在のアーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエールに引き継がれます。
ニコラは、1997〜2000年代にパリ・クチュールブランドを代表するバレンシアガを再生した才能あるデザイナーで、サヴォアフェール(職人技)と高い品質に対する姿勢はもちろんのこと、その挑戦を続ける精神がルイ・ヴィトンと必然的に共鳴したといえます。
彼の作品は時代をリードする世界のセレブリティたちも魅了。ジェニファー・コネリー、エマ・ストーン、広瀬すず……実力とともに個性溢れる彼女たちがブランドのアンバサダーとしてニコラの感性に呼応し、私たちに多くのメッセージを伝えてくれます。
左・日本のアンバサダーの広瀬すず。中・エマ・ストーン。右・ニコラと長年親交の深いジェニファー・コネリー。3点すべて©LOUIS VUITTONモダンな女性像とは? 豊かな生き方とは? それは、常にルイ・ヴィトンが提供してきた価値でもあります。
2023年春夏コレクションはルイ・ヴィトンのDNA的アイコン・ディテールが豊富に登場している。ジッパー、バックルなどが巨大化されたデザインは遊び心に溢れて。ネームタグやモノグラム・パターンがスケールアップし、ユニークに変身したバッグたちも、コーディネートの斬新なアクセントとして取り入れたい。コレクション写真すべて©LOUIS VUITTON2023年春夏シーズンでは、ブランドアイコンのバックル、ジッパーなどを巨大化し、強いデザインの中に女性らしさを問うコレクションを発表。メゾンのDNAへのリスペクトであると同時に、創始者ルイから続く果敢な精神が、女性たちの自由な美しさを輝かせているのです。
文 渡辺三津子(わたなべ・みつこ)
ファッションジャーナリスト。資生堂『花椿』誌からキャリアをスタート。海外ファッション誌数誌を経て2001年『ヴォーグジャパン』編集部へ。08年編集長に就任し、22年独立。 取材・撮影協力/ルイ・ヴィトン
『家庭画報』2023年2月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。