風をまとう、極上の夏の織り。その衣は、作家たちの心が発露した類い稀なる美を醸し出します。独自の技で作品を生む重要無形文化財「紋紗(もんしゃ)」保持者・土屋順紀(つちや・よしのり)さん。
きもの好きの知花くららさんが、岐阜県関市にある土屋さんの工房を訪ねます。(
前回の、涼を呼ぶ夏の織り 第1回はこちらから。)
長良川の清流に育まれた、豊かな自然に想いを馳せて
長良川の清流の畔を訪れた土屋順紀さんと知花くららさん。「土屋さんの多くの作品の主題にもなっている、雄大な長良川の風景を見てみたいのです」という知花さんの希望で、緑深い山懐に抱かれ、清冽で豊かな水量を誇る長良川に赴きました。
深い淵にきらりと光る鮎の影、夕日に彩られる川面の美しさ……。この豊饒な自然が作品の原風景であることを実感して。
土屋順紀(つちや・よしのり)1954年岐阜県生まれ。美術専門学校を卒業後、染織作家・志村ふくみ氏に師事。81年独立して工房を構える。
94年日本伝統工芸展初入選。96年日本伝統工芸展にて日本工芸会総裁賞を受賞。「羅」伝承者養成研修会に参加し、北村武資氏に師事。2010年「紋紗」の技法で重要無形文化財保持者に認定される。受賞歴多数。
知花さん着用のきもの/弓月京店 帯/銀座もとじ 和織 帯締め/道明パラソル/銀座ぜん屋本店知花くらら(ちばな・くらら)1982年沖縄県生まれ。ファッション誌でモデルを務めるほか、テレビ・ラジオ・CMに多数出演。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』で女優デビュー。
国連WFP日本大使としての活動は11年目を迎える。第63回角川短歌賞の佳作に入選し、歌人・永田和宏氏と共著で短歌入門書を刊行するなど、幅広く活躍中。