オーラを放つ時代の主役たち 第2回(全5回)いつまでも見つめていたい表情、ずっと聞いていたくなるその声。時代に愛される人の格別な魅力を篠山紀信さんの撮影する「写真」に切り取って。トップブランドの新作を颯爽と着こなし、いちだんと輝く6人のオーラを、素顔が垣間見えるインタビューとともにお届けします。
前回の記事はこちら>> 世界大会16連覇、個人戦206連勝。そんな輝かしい金字塔を打ち立て、この1月に現役を引退した女子レスリング界のレジェンド、吉田沙保里さん。飾らずにハキハキと答える姿や、周囲への感謝や気遣いを忘れない発言は、一流アスリートならではです。
一方で、小柄で色白で髪がサラサラ、「スイーツと西野カナが大好き」と話す、まさに“乙女”。元サッカー日本女子代表で仲よしの「澤 穂希さんのような幸せな家庭を持つのが夢の1つ」と言う吉田さん、ぜひ叶えて、金メダルを獲ったときのような最高の笑顔を見せてください!
Emporio Armani
「普段は無難な色を選びがちなのですが、こういうきれいなブルーもいいですね。肩が出る服は自分ではまず選ばないので、この機会に挑戦できてよかったです」と吉田さん。華麗にイメージチェンジした姿はまるでマーメイド。鍛えたボディにシルクオーガンジー素材のロングワンピースがよく似合っていました。
ワンピース27万円/エンポリオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)大きなニュースとなった引退会見から約1か月後に行われた本取材。吉田沙保里さんに引退して変わったことを尋ねると、真っ先に「時間を気にしないでいいこと」という答えが返ってきました。
「選手時代は朝6時に起きて朝練に行っていましたが、今は仕事がなければ、目が覚めたときに起きるという感じです(笑)。目覚ましをかけなくていい生活というのは本当にいいものですね」。
現役時代、常に吉田さんの傍らにいたのは、レスリングの師である亡き父・栄勝さんでした。
「父は骨折していても『試合に出ろ』と言う人で、“超”がつくほど厳しかったし、怖かったです。でも、厳しい分、優しいところもありました。それに気づいたのは大学に入って親許を離れてからですね。親のありがたみがわかり、感謝するようになりました」。
栄勝さんと聞いて思い出されるのが、ロンドンオリンピックで金メダルを獲った吉田さんに肩車されて喜んでいた姿です。
「3歳からレスリングを続けていて、あんなに喜んでいる父は初めて見ました。目を潤ませて『最高!ありがとう!』と喜んでくれて、私もすごく嬉しかったです」。
「生まれ変わったら、レスリングではなく球技がやりたいです」
父娘の幸せな思い出に目を細める吉田さんに、生まれ変われたとしたら、もう1度レスリングをやりたいか尋ねると、答えはノー。
「思わないです。レスリングをやってきたことについてはまったく後悔はありません。でも、もう1回やれと言われたらきつい。生まれ変われるなら、今度は球技をやってみたいですね。レスリングは道具を使わない競技なので、ないものねだりです(笑)。
全豪オープンテニスの大坂なおみ選手の試合は観ていてすごく力が入りました。今ドキドキしてるんだろうなぁと思いながら応援していましたね」。