パリ、大人のおしゃれの見本帳 フランス移住2年目のファッションライターがパリの街で体当たり取材! 素敵な女性に声をかけ、着こなしの秘密を探ります。毎日のおしゃれに役立つ、ファッションスナップをお届け。
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映画制作会社に勤務しているソラヤさん。お気に入りのお買い物スポットはマレ地区。パリ、大人のおしゃれの見本帳 35
冬になると、つい全身の装いが黒っぽくなりがちなのは、パリジェンヌたちも同様。真冬のパリでは、すれ違う女性の約4人に1人は黒のアウターを着ているのでは?というほど、よく見かけます。
そんな万人に愛される黒ではありますが、だからこそ、素敵に見せるには“ワザ”が必要。こちらのソラヤさんは、全身黒ずくめではありながら、黒をすっきり着こなしている好例です。
ポイントは、黒の重たさを払拭する膝上のコート&短めスカート。ちなみにヨーロッパでは「40歳を超えたら膝は隠すべき」という暗黙のルールがあると、以前耳にしたことがあります。
私もすっかりその世代の仲間入りをしており、特に冬に膝を出すことは躊躇しがちですが、彼女のように肌が透けないほど厚手の黒タイツなら、大人が膝を出しても変に若づくりな印象にならず、バランスよくまとまるのも魅力です。
黒をコケティッシュに演出するハンサムハット
ソラヤさんの女性らしい着こなしをより魅力的にしているのが、マニッシュなハット。相反する要素を組み合わせることで、彼女のキュートさがより引き立っているよう。
そしてお父さんの箪笥から拝借したという、クラシックな雰囲気を感じさせるグレンチェックのマフラーなど、渋好みな小物使いもパリジェンヌらしさを感じさせます。
実は、このお父さんやお母さん、はたまたお祖父さんやお祖母さんのファッションアイテムを、コーディネートにうまく取り入れているパリっ子をよく見かけます。無駄にお金をかけずとも賢くおしゃれできると同時に、ものをシェアすることで美意識が自然と受け継がれるというメリットも。
パリジェンヌたちのファッションがいつの時代もタイムレスなエレガンスに満ちているのは、こういうことが背景にあるのかも、と一人納得したのでした。
重めの冬の黒は、華奢アクセで“今”らしい軽さをプラス
そして、クラシックなスタイルにこそ、“今らしさ”を加味することも忘れずに。華奢なリングを横にレイヤードすることで、年相応のフレッシュさも意識しつつ、黒を軽やかに見せる効果も。
考えれば考えるほど奥の深い“黒”の着こなし。小物や丈感にこだわれば、さらにおしゃれがパワーアップすることを今一度おさらいしたのでした。
MEMO
受け継がれるアイテムでタイムレスなおしゃれを実現
次回はさりげなく目を引くコートの着こなしをご紹介。2月25日配信予定。
写真/Olivier Leroy
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ルロワ 河島 裕子 / Hiroko Kawashima Leroy
ファッションライター
『家庭画報』をはじめ大人の女性に向けた雑誌で、ファッションやジュエリー、時計を中心に幅広く執筆。2018年より、家族とともに、拠点をフランス北部の田舎に移す。2019年夏、ついに憧れのブルゴーニュに家を購入! 夢は夫とともにB&Bを営むこと。同サイトで、パリの第一線で活躍する日本人のルポルタージュ「
美を紡ぐ人々」、行き当たりばったりのフランス移住エッセイ「
意外となんとかなる!? 40代のフランス移住」を連載中。