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本物のレースのような軽やかさに「ディオール」の職人技が光るネックレス

2023.05.18

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ジュエリー見聞録

ディオール ファイン ジュエリー

肌の上でしなやかに輝く洗練されたフェミニニティ
オートクチュールのレースやチュールから想を得た、精緻なオープンワークのデザイン。驚くほど軽やかでしなやかな表情が、まとう女性の魅力を引き出します。ネックレス「ディオール ディオール ディオール」(WG×PG×ダイヤモンド×ピンクサファイア)1億4500万円(参考価格)/ディオール ファイン ジュエリー ●お問い合わせ/クリスチャン ディオール TEL:0120-02-1947

ピヤーシングが叶える緻密なデザイン


解説/山口 遼(宝石史研究家)


ジュエリーを作る場合、素材は少なくて、軽快なのに印象的なデザインを考えるということは、実は何よりも難しいことです。宝石や貴金属をたくさん使えば、それだけで人はびっくりしますから、さして難しいことではない。

この「ディオール」のネックレスは、近年多い重厚なジュエリーの中で、極めて繊細で軽やか。おそらく実際のつけ心地も軽いと思います。首にピッタリと張りつく絶妙な長さ、ホワイトゴールドの非常に細い線を張り巡らし、白さの中にピンクの花模様を効果的に配しています。

ディオール ファイン ジュエリー

このネックレスで最も注目すべきは、ピンクサファイアではなく、ごく細いホワイトゴールドの蜂の巣状のデザインです。

作品の名前はレース状のチュール。このジュエリーをデザインしたヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌは、ディオールが遺したオートクチュールのレースなどからアイディアを得たものと思います。戦後のアパレル界を席巻したディオールならではの素晴らしい財産です。

この金属の細い線だけでデザインを描くのは、専門的にいいますとピヤーシングと呼ばれ、1910年前後のプラチナの全盛期に流行ったもので、糸鋸を使って細い線を切り出すというものです。高度な技が必要とされるそれを見事に応用しています。

繊細な白と、ピンク。クチュールの世界から華々しく登場したディオールらしい、見事なジュエリーですね。
撮影/栗本 光

『家庭画報』2023年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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