最高峰のルビーとラピスラズリが奏でる色彩の妙
アジアの仏教寺院にインスピレーションを得たオリエンタルなデザイン。最高峰のルビーを中心に、ラピスラズリとダイヤモンドをバランスよく配しています。遠目にも際立つ、美しい色彩が印象的です。“パゴダ ネックレス”(WG×RG×ルビーセンター8.17ct×ラピスラズリ×ダイヤモンド)2億9160万円(参考価格)/ヴァン クリーフ&アーペル ●お問い合わせ/ヴァン クリーフ&アーペル ルデスク TEL:0120-10-1906ルビーとラピスラズリの大胆不敵な組み合わせ
解説/山口 遼(宝石史研究家)
このコラムはまだ4月号ですが、おそらく今年ご紹介するジュエリーの中で、最も色彩的に派手なのはこの「ヴァン クリーフ&アーペル」の新作でしょう。
宝石の中でも最も青色が鮮明なラピスラズリという石と、最も赤が鮮明なルビーとを組み合わせるという、まあ大胆不敵の一語に尽きる作品です。
中央のルビーはモザンビークで採れた8カラット超えの見事なものですが、このネックレスのいちばんのポイントは、ラピスラズリを円形の尖塔状に削り、その天辺にルビーを埋め込んだ円形のモチーフの連続にあります。
おそらくこれは、アールデコの時代に同メゾンが得意とした中国モチーフを再現したものだと思われます。
中国の寺院には、日本の寺院と違い、円形の建物で屋根が円錐状のものがあり、その典型は北京の天壇でしょう。
実はヴァン クリーフ&アーペルは、1931年にジュエリー史に残る名作「中国人の雨傘」を作っています。
これは金だけで作ったジュエリーのセットで、東洋の農民たちがかぶる藁などで編んだ円錐形の帽子を、宝石を使わずに金だけで作り、それを繫ぎ合わせてジュエリーにしたものです。
その雨傘を金ではなく、ラピスラズリとルビーという色彩の組み合わせに応用したネックレス。素晴らしい遺産を持つハイジュエリーメゾンにしかできない、圧巻のジュエリーといえますね。
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/栗本 光
『家庭画報』2020年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。