農家としての一歩を、この棚田から踏み出す仰木の棚田は、午後も光が美しく、歩くと爽快だ。こんな長閑なところなのに、日本各地の里山同様に農地が荒れつつあるのだ。今だからこそ、自分も農家になることによって人との関わりを一歩進展させたいと思う。私としては、風景が今まで以上に輝いて見えてくることを期待している。 左のこんもりとした小山が、開墾しようとしている竹林。その右の田んぼの平らな重なりが、“光の田園”。背後には比叡山の峰々が連なる。
竹林の現場に行くためにあえぎながら土手を登る。ほんの少し高くなるだけで、見晴らしがどんどん良くなってゆく。遠くに仰木の旧家が見える。
ドローンを飛ばして、空からも眺める。地上にいるときは広大に見える農地も、田んぼがパッチワークのような姿になると、猫の額になってしまう。
農家のことを色々と教えてくれる私の先生、西村さん。刈り取った土手の草を燃やしているところ。
(次週、「今森光彦 環境農家への道 第3回」に続く)
今森光彦/Mitsuhiko Imamori
写真家。切り紙作家。
1954年滋賀県生まれ。第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月』(世界文化社)、『今森光彦ペーパーカットアート おとなの切り紙』(山と溪谷社)ほか。
この連載は、『家庭画報』2017年2月号から掲載された「写真家・今森光彦の光の田園だより」をWEB用に再構成したものです。