――2016年にミュージカル『ブラック メリーポピンズ』に出演されて以来、舞台は本作品で4本目。このところ、舞台出演が続いていますね。
「人生の潮目が変わったなと自分でも感じます。それまでは、舞台はいちばん遠い存在で、一人っ子で“一人でいる時間が最高だ”と思って生きてきた自分には絶対に無理だし、やりたくないと思っていたんです。毎日お酒を酌み交わさなきゃいけないなんて、恐ろしすぎる！とか、勝手なイメージを持っていて(笑)。でもやってみたら、これまでの生き方ではわからなかった新しい経験値を得ることができました。同時に、なんて大変なんだ！とも思いましたけど(笑)」
――新しい経験値とは、具体的にどんなことだったのでしょう？
「新しい人と知り合うことが前より怖くなくなったし、人と喋ることが好きになりました。前は飲みに行くことも嫌いだったけど、みんなのチームワークで一つ乗り越えると、ここはこうだったよねって、語り合いたくなるんですよね(笑)。あとは体調管理。それまでは体調が悪くても自己責任で、気合と根性で治して何とか頑張るぞ！という感じだったんですけど、舞台ではそうはいかないので、体調を整えるために食事をちゃんと摂るとか、自炊とか掃除洗濯とか、人として欠けていたことを全部やるようになりました。舞台がきっかけで一人暮らしも始めて、友達を招いてご飯を振る舞ったりするまでになったんですよ。このまま孤独で死ぬんじゃないかと思っていたから、それは大きな変化です」
体調管理を始めてから、風邪もひかなくなったそう。「体調がいいと、余計なことを考えなくていいなあと実感しています」。――いいことだらけじゃないですか。
「そうですね(笑)。ドラマの仕事もやらせていただくようになったし、ミュージカル向けの“言葉で聴かせる”歌唱指導を受けたお陰で、歌も変わったと思います。ただ、舞台の稽古はやっぱりしんどい(苦笑)。時間って、寿命じゃないですか。お金と時間をかけて観にいらっしゃるお客様に毎日向き合うことも、試練だなと思います。でもだからこそ、お客様の拍手が何よりのご褒美なんですよね。自分のコンサートやイベントと違って、舞台の客席には私に特に興味がないお客様もたくさんいらっしゃる。そういう方から拍手をいただく喜びは、またひとしおです。苦手だったり、無理だと思っていることほど、快感は大きいのかもしれないですね」
