新しい時代の幕開けに向けて
世界中から詰めかける旅行者で賑わうはずのルーヴル美術館の沈黙。だが、「Netflix」のシリーズの舞台になり、「ユニクロ」とのコラボレーション展開など大胆な試みが次々と発表されている。人も車も忽然と消えたパリの風景。ロックダウンでゴーストタウンと化した映像に衝撃を受けた人は少なくないはずです。けれども、歴史をひもとけば、この街は戦の舞台になり、疫病に見舞われたことも一度や二度ではありませんでした。そして災難から立ち上がるたびに、過去にも増して魅力的な街へと変貌を遂げてきたのでした。
扉の内側で、次の時代のフロンティアたちは夢見ることを、夢を形にしていくことを決して諦めることはありません。コロナ禍から立ち上がらんとするパリは、これまでと同じではありません。地球に、そして人により優しいライフスタイルがどんどん現実のものになります。
しばし眠りについていた歴史遺産には新たな命が吹き込まれ、最先端を行く空間として生まれ変わろうとしています。古くて新しいパリ。私たちはいま、永遠の花の都の歴史の節目に居合わせているのです。
車が減った市内。自転車レーンの新設など、排ガス対策が推進されている。 撮影/小野祐次 取材・文/鈴木春恵
『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。