衣装協力：ジャケット4万9500円 パンツ3万9600円／ともにis-ness（alpha PR）言葉に感動するのではなく感情に心が動かされる
今作は音楽劇なので、歌唱する場面もあるという。昭和歌謡と聞いて思い浮かぶ歌手名を挙げていただいた。
「井上陽水さん、山口百恵さん、テレサ・テンさんとか、挙げるとキリがないですね。以前はレトロなスナックに行くこともあったので、そのときにカウンターの隣の席にいるおじさんやおばさんが歌っている曲を聴いて覚えました（笑）。作品の中では昭和の歌謡界という要素が大きな柱で、生バンドの演奏もあります。舞台で歌唱することも僕にとって初めての経験で、全48公演のうち、一日2公演の日もあるので、自分の体がどういう状態になるのか全く読めません。
まずは体を作っていく作業として、1年半ほど前からボイストレーニングを受けています。基本的な発声や呼吸法、普段は使わない筋肉を使い、体という楽器の強度を高めていくところから始めました。劇中の音楽なので感情を扱うところを目指さなければならないと思っています。昭和の時代の音楽には歌手のかたが歩んだ人生や背負っているものまでも感じる曲があります。光を浴びた舞台上でマイクの前に立つまでの彼の時間をたどり、その積み重ねを音楽に乗せたいです」
それでは、中川さんの舞台の原点には何があるのか。3歳くらいからダンスを始め、年に数回舞台に立つ機会があり、拍手をもらった光景は鮮明に記憶に残っているという。今も観劇好きの彼の印象に残っている作品についても伺った。
「小学校6年生のときに初めてニューヨークへ行き、ブロードウェイでミュージカルを観ました。僕は英語が完璧にわかる訳でもないのに、笑って泣いて、感動したんです。そのとき僕らは俳優が発する言葉に感動しているのではなく、感情に心が動かされているということを改めて感じたんです。それが『メリー・ポピンズ』で、衝撃的な体験でした」
中川大志／なかがわ・たいし
1998年、東京都生まれ。2009年に俳優デビュー。日本テレビ『家政婦のミタ』（2011年）で長男役を演じ、注目を集める。その後NHK連続テレビ小説『なつぞら』（2019年）など、数多くの話題作に出演。また、映画『坂道のアポロン』（2018年）、『覚悟はいいかそこの女子。』（2018年）で主演を務め、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』（2022年）では畠山重忠役の熱演が話題となった。待機作として映画『ブラックナイトパレード』が2022年12月23日公開。映画『スクロール』が2023年公開予定。
音楽劇『歌妖曲（かようきょく）〜中川大志之丞変化（なかがわたいしのじょうへんげ）〜』
明治座、東宝、ヴィレッヂの男性プロデューサー3人が立ち上げた“三銃士企画”の第2弾は、劇作家・倉持 裕が初のシェイクスピア作品『リチャード三世』に挑み、昭和歌謡界とかけ合わせて、ダークヒーローを描く。
主演と初座長を務めるのは、今作が本格的な舞台の初挑戦となる中川大志。醜い風貌で不遇な宿命を背負った主人公の“鳴尾 定”は、全身整形を受けて美貌を手にし、“桜木輝彦”という歌手となって大衆芸能・歌謡界を席巻するものの、破滅の道へと突き進んでいく……。
出演は中川大志、松井玲奈、福本雄樹、浅利陽介、中村 中、山内圭哉、池田成志ほか。
明治座〜2022年11月30日
S席1万3500円（全席指定）ほか
明治座チケットセンター：03（3666）6666（10時〜17時）
URL：
https://www.sanjushi2nd-2022.com/※福岡、大阪公演あり
表示価格はすべて税込みです。
撮影／永田忠彦 構成・文／山下シオン ヘア&メイク／佐鳥麻子〈Vitamins〉 スタイリング／高橋毅〈VIXI〉
『家庭画報』2022年12月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
