今月の人 間宮祥太朗さん
すべての発端は1枚の中古住宅の間取り図。そこに隠された謎を探るうちに、主人公たちは驚愕の真実に巻き込まれていく......。そんな“間取りミステリー”とでも呼ぶべき新たな作品が公開されます。覆面作家の雨穴(うけつ)さんが、自身が作成したYouTube動画などを原案に書いた同名の小説を、充実のキャスト&スタッフで映画化した『変な家』です。
間取り図から始まる驚愕のミステリー
「僕は映画化の話を知る前に、マネージャーから『面白い動画があるよ』と言われて原案の動画を見ていたので、どんな映画になるんだろう?というところに、まず惹かれました。脚本を読んだら、映画らしいスケール感がありつつも、物語としてのまとまりもあって、面白いなと感じました」
そう話すのは、雨男(あめおとこ)の名で活動するオカルト専門の動画クリエイター・雨宮役の間宮祥太朗さん。ダブル主演の佐藤二朗さんが演じる、一風変わったミステリー愛好家の設計士・栗原と共に、奇妙な間取りの秘密に迫っていきます。
「あまり見たことがない感じの映画になっていると思います」
「二朗さんとは共演経験があったので、現場でいろいろ話しながら、ちょっと凸凹なバディを楽しく構築できました。途中から話が大きく展開していくので、前半と後半では見え方もだいぶ違っていると思うし、あまり見たことがない感じの映画になっていると思います」
家族の絆とその闇を描き、ゾクッとさせる場面も多々ある本作品。
「やっぱり人間が一番怖いなと、改めて感じましたね。でも僕は人の怖い部分も結構好きというか、興味があるんです。それは人間の本質でもあると思うから。恐ろしい考えに囚われて暴走するのも、人に感情や想像力があるからで、ある意味めちゃくちゃ人間的じゃないかと思ったりするし、そういう危うさって、誰もが本質的に持っている気がします」
人間形成にも影響を与えた幼少期の祖父母との旅
物語に没入し、そんな人間というものが持つ、さまざまな感情を演じているときが、俳優として一番面白く、充実感を覚えるという間宮さん。小学生の頃に通っていた塾と同じビルにレンタルビデオショップがあり、頻繁に足を運ぶうちに「映画と音楽が大好きになりました」。
一方で、幼少期は、「家の中よりも断然、外で遊ぶほうが好きでしたね。自転車に乗って遠出をしたり、空き地や雑木林で遊んだり……。毎日、日が暮れるまで外にいて、なかなか家に帰ってこないような子どもでした(笑)」。
「小さい頃、祖父と祖母に海外のいろいろな所に連れていってもらったことが、かなり影響していると思います。都市とか観光地ではなく、大自然を楽しむことをメインとした旅だったので。たぶんその頃の経験は、自分の人格形成にも多大な影響を与えていると思います。おかげで、こんなにも雄大な世界から見たら、ちっぽけな自分の悩みや後悔なんて、限りなく無に等しいようなものだなと思えるようになりました。祖父と祖母には本当に感謝しています」
「間取り図を見るのは僕自身も好きです。古い家をリノベーションした物件には、特に惹かれます。部屋数の多さよりも、リビングが大きいほうが好みですね」と間宮さん。
「シンプルですけど、生きていることを楽しみたいです」
今も仕事の合間を見ては、仲間とキャンプや釣りに出かけたり、旅行を楽しんだりしているといいます。
「最近行った所では、バリ島が印象深いですね。そこまで観光地化されていない村に行ったのですが、美しい棚田と山と植物の中で4日ほど過ごして、すっかりリフレッシュできました」
繊細で品のある役から、冷血漢や熱いヤンキーまで、幅広い役柄を見事に演じ分けて魅せる30歳は、「シンプルですけど、生きていることを楽しみたいです」と、今後の展望を語ります。若くして物事を俯瞰する力も備えた実力派の活躍に、今後もますます注目です。
間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)1993年、神奈川県生まれ。2008年に俳優デビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『ナンバMG5』、『真夏のシンデレラ』、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、『破戒』、『ある閉ざされた雪の山荘で』、舞台『ツダマンの世界』など。主演を務める日本テレビの連続ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』が4月から放送開始予定。
映画『変な家』
ⓒ2024「変な家」製作委員会
白い仮面をかぶった謎のWEBライター兼YouTuber、雨穴のベストセラーを映画化。動画クリエイターの雨男(雨宮)は、マネージャーから奇妙な点がある一軒家の間取り図を見せられ、ミステリー愛好家で設計士の栗原に相談する。栗原はある仮説を述べるが、その一軒家の近所で死体遺棄事件が発生する──。
原作/雨穴『変な家』(飛鳥新社)
監督/石川淳一
脚本/丑尾健太郎
出演/間宮祥太朗、佐藤二朗/川栄李奈ほか
URL/
https://hennaie.toho.co.jp/全国東宝系にて公開中