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難読名字「鉱」さんは何と読む? 神話の国・出雲にゆかりがあるようです

2025.03.18

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名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:鉱(あらがね)

島根県に、名字には滅多に使われない「鉱」という漢字を使った名字があります。しかも、これ一字で「あらがね」と読む難読名字です。

島根県の出雲地区は古くから鉄の産地として栄えました。

この鉄をバックボーンとして出雲には出雲大社を中心とする古代王国が生まれ、ここは大和国を中心としたヤマト王権に対抗する有力なクニだったと思われます。


やがてヤマト王権に取り込まれていくのですが、独自の出雲神話が残っているなど、随所にその名残がみられます。

出雲神話にある、天上界を追放されたスサノオノミコトが剣でヤマタノオロチを退治する話は、暴れ川であった斐伊川を、鉄製の道具を使って治水したことを示しているともいわれています。

さて、製鉄が盛んだった出雲地区には、「金築(かねつき)」「鑪(たたら)」など、製鉄に因んだ名字がいくつかあります。そのうちの1つが「鉱」なのです。

鉄は掘り出した鉄鉱石を製錬して鉄にします。そして、まだ精錬していない原石のことを「あらがね」といいました。通常は「粗金」や「荒金」と書くのですが、掘り出した状態の鉱石の「鉱」一字で「あらがね」と読ませることもあり、これを名字にしたものです。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

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