「変化するデザイン」が今季のテーマ
本格的なデビューとなる2018年秋冬コレクション。春夏のプレデビューではベーシックなアイテムが中心だったため、秋冬では2人の等身大のファッションを意識したそうです。
「トレンドの古着をミックスしたスタイルにはもちろん、アレンジ次第でワンピースやネオトラッドなジャケットにまで被れるようにディテールを工夫しました。今まであまり帽子になじみがなかった同世代の人でも、一つあれば様々なスタイルが楽しめるものが完成したと思います」(翔さん)。
クラウンは今秋らしいトラッドテイストのチェック柄、前後のブリムはシックなモカブラウンの無地に。後ろのブリムはスナップを外すと、首に沿うように角度を計算。前後を逆に被ると(写真の翔さんのスタイル)、前下がりのブリムが個性豊かな表情に。1万6000円/saki et show(Boutique Salon CoCo)例えば翔さんが手がけたキャスケット帽は、前後にあしらったブリムが特徴。フロントのブリムは幅を狭くしてジョッキーハットのように、後ろのブリムはスナップで取り外しできるようにデザインしました。前後を逆に被ることもできて、ファッションに合わせて幾通りものアレンジが可能です。
頭部になじむかぶりやすさにもこだわった帽子
実際に被ってみると頭部にしっくりとなじむ優しさも、「saki et show」の帽子の特筆すべき点といえます。
すでに3年ほどアトリエでパタンナーの経験を積んだ早姫さんは、この「被り心地」こそ、アトリエに継承された伝統の型が根底にあると語ります。
「私も弟も、子供の頃から当たり前のように祖父や母の手がけた帽子を被り続けてきました。物心がつく頃に何気なく他店の帽子を被ってみたら、あれ?何か違うと……(笑)。そこで初めてうちの帽子は特別なのだと実感しました」(早姫さん)。
コーデュロイのイヤーマフがついた、早姫さんのデザインによるベレー帽。早姫さんのスタイルのようにイヤーマフはとることもでき、その場合もスナップがスタッズのようなデザインアクセントになっています。1万9000円/saki et show(Boutique Salon CoCo)伝説のモディスト・平田暁夫が、日本に根付かせたオートクチュール感覚の帽子作りの哲学と技術は、こうして孫の早姫さんと翔さんにも脈々と受け継がれています。
既存の枠にとらわれることなく、自分たちの感性に響く生地を探求しています。