脚本を読んで、監督と“僕”が重なって見えたと柄本さんがいうように、“僕”を演じる柄本さんと雰囲気がどことなく重なる三宅監督。――今回の映画は、3人が食べたり、飲んだりしているシーンがものすごく多いですけど、印象に残っているシーンはありますか。
佐知子と静雄が深夜のカラオケから戻った翌朝、3人で食事をしている妙に明るい食卓は唯一、1テイクでOKが出たシーンでした。大体どのシーンもテストを重ねて本番も3、4回、カメラを回していたなかで、あそこはカメラの動きが妙にスムーズで面白かったんですけど、監督が“カット”と言ったとき、あれ、OK?、まあ面白かったからいいのかなって(笑)。クラブのシーンは(カメラを)回しっぱなしで、俺はイェーイとかやっていたんですけど、染谷将太はちょっと引いていて、カメラ位置を確認しながら、“佑さん、今、カメラが静河を撮っているから、その向こうに座りに行きません?”って声かけてきて。おお、大人だなあと(笑)。
――虚構のなかでつくり上げた濃密な時間は、映画ならではのものでした。
3人が室内で一緒にいる濃密なシーンは、前半にまとめて撮っていたんですけど、その後、現場に他の役者さんが入ってきたとき、僕は意外なほど揺れたんです。静河を見たら、彼女の顔も引きつっていたので、セッティングのあいだ「ちょっと海でも見に行こうぜ」って声かけて出かけて。それでペースを戻しましたけど、そのとき、紗幕で夜をつくって、あの狭い部屋で蠢きながら3人で世界をつくっていたんだなって、気づきました。
――完成した映画をどうご覧になりましたか。
初号(完成した映画の最初の上映)が終わった後は、酸欠で頭がクラクラして、誰とも口をきけません。自分の姿を見て反省ばかりしてしまって、まったく冷静には観られなくて、こればっかりは本当に慣れないです。ただ、初号から時間が経って、今、思うのは、『きみの鳥はうたえる』は僕にとってターニングポイントというか、現場も、完成した映画も、一生の宝物のといえる作品になったということです。染谷くんも最高の演技だったし、静河も見事に羽ばたいていたし。初日が始まったときから、この現場が終わってほしくないと思いながら撮影していたこの作品は、関わったキャストとスタッフ全員が“自分たちみんなのもの”と感じていた映画だったと思います。
――本当に幸せな映画ですね。
17年間、役者としてよく頑張ってきたね、はい、これ、ご褒美だよ、と差し出されて、ありがたく受け取りましたけど。でも、毎回、こうだと思うなよ、ということも肝に銘じています(笑)。
3人で食べる、飲む、遊ぶシーンが多かった今回の映画。“飲んだり、クラブのシーンでは、本当に飲んでいました”と柄本さん。 柄本 佑/Tasuku Emoto
俳優
1986年、東京都生まれ。2001年、黒木和雄監督の『美しい夏キリシマ』で俳優デビューし、キネマ旬報ベストテン新人男優賞などを受賞。近作に『追憶』『素敵なダイナマイトスキャンダル』など。『ポルトの恋人たち 時の記憶』、『ねことじいちゃん』の公開が控えている。
© HAKODATE CINEMA IRIS『きみの鳥は歌うたえる』 監督・脚本/三宅 唱 原作/佐藤泰志 出演/柄本 佑、石橋静河、染谷将太、足立智充、山本亜衣 2018年 106分 日本映画
8月25日より函館シネマアイリス先行公開、9月1日より新宿武蔵野館、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
公式ホームページ/
http://kiminotori.com/ 柄本 佑さんからサイン入りチェキを抽選で2名様にプレゼント!
【応募方法】 サイン入りチェキの応募締め切りは2018年9月21日(金) 9時00分です。 下記応募フォームに、必要事項を入力してください。なお、ご応募は、お1人様1回限りとさせていただきます。 複数回のご応募は、無効とさせていただくことがございますのでご了承ください。 当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。編集部へのお問い合わせはご遠慮ください。 たくさんのご応募、お待ちしています! 応募する>>> ※サイン入りチェキのプレゼント応募は、申し込みを締め切りました。多数のご応募、ありがとうございました。
※個人情報の取り扱いについて ご記入いただいた個人情報およびアンケートの回答は、㈱世界文化社にて管理し、当選の通知に利用するとともに、個人が特定できない統計データとして、よりよい誌面・サイトを作るため、および弊社のマーケティング活動のための参考資料とさせていただきます。利用目的にご同意のうえ、お申し込みください。当選の権利は、ご当選者様本人にのみ帰属し、第三者への譲渡・換金・転売等は一切出来ません。また、賞品の転売行為は固く禁止させて戴きます。