会津漆器の歴史は古く、縄文時代の遺跡からも漆製品が出土しています。産業として成立したのは400年ほど前で、江戸時代には数十万本あった漆の木が戦後、激減。そこで、風前の灯となった会津の漆産業を復活させるため、新たな形で文化の継承を試みる器が誕生しました。
「めぐる」は会津で活躍する4人の漆器職人と、暗闇のなかで対等な対話の場をつくるソーシャル・エンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で暗闇案内人として働く視覚障害者の女性3名との対話から生まれた器です。触覚に敏感な彼女たちが求めたのは、器に触れたとき、口をつけたときの感覚など、「見えないデザイン」。
例えば「水平」(下写真1枚目、2枚目)は、持つと自然に体全体の重心が決まるよう設計され、対して「日月」(写真3枚目、4枚目)は器に直接口をつける独特の食文化を持つ日本人のために、素材の味をそのまま感じ取れるような口当たりを追求しました。
「水平」花塗り(三つ組で3万5000円)。赤、黒の2色。
「日月」花塗り(三つ組で3万3000円)。赤、黒の2色。
「日月」拭き漆(三つ組で2万5000円)。赤、黒の2色。