滑らかな杉の木目が美しい、3つの照明。端正なデザインは、まるで小さな建築物のようにも見えます。「a piece of forest(森のひとかけら)」と名づけられたこの照明は、「ザ・ペニンシュラ東京」を手がけたことでも名高いインテリアデザイナー、橋本夕紀夫氏が設計。
上左・「HY-301」(幅21×奥行き21×高さ30センチ)9万8000円。
上中・「HY-101」(幅30×奥行き6.5×高さ30センチ)8万8000円。
上右・「HY-201」(幅28×奥行き6×高さ30センチ)7万8000円。 木材が自然に発光しているような、温かみのある逸品です。原料は木材から仕上げ塗装に使う油まですべて、島根県の北東、日本海に浮かぶ隠岐の島産。
土地の8割以上を森林が占め、ユネスコ世界ジオパークとして認定を受けるほど豊かな自然が魅力のこの島は、古くから先祖が育てた木を孫の代が使い、また植えるという、木材を持続的サイクルで利用する知恵が受け継がれてきました。
しかし近年、安価な輸入木材の影響で、島内林業は衰退。需要がないため木を使う機会が減り、手を加えられなくなった森は荒れ、深刻な状態に陥っています。
隠岐の島の林業関係者たちは「行き場のない木々を使い、自分たちで島の未来を変えたい」と考え、先祖が代々大切にしてきた森を守り、もう一度、島の林業に活気を取り戻すために動きだします。
彼らが訪ねたのは、「森をつくる家具」をテーマに家具作りを行う「ワイス・ワイス」。そうして完成したのが、この照明器具でした。
島内で125年の歴史を誇る「池田材木店」が、先々代が植えたという杉の木を選び、木目の美しい、最高級と評される部分のみを切り出します。
その材を使って、神社の修繕遷宮なども手がけ、伝統的な工法を受け継いだ島大工を擁する、島内の「吉崎工務店」が製作。日本の木造建築で用いられる伝統的な「蟻継ぎ」という、釘を使わない工法で作られます。