ミキモト銀座4丁目本店で開催中の「二代目 中村吉右衛門 写真展」。
初日から多くの来場者で賑わっています。
『菅原伝授手習鑑 寺子屋』2012年9月新橋演舞場 ©️鍋島徳恭会場に足を踏み入れると、ほの暗い空間に浮かび上がるように展示された、30点近い写真に圧倒されます。
©️鍋島徳恭当代随一と言われる朗々たる台詞回しが聞こえてきそうな名場面を捉えた舞台写真をはじめ、楽屋や舞台裏での拵え風景、黒い背景で撮られた当たり役の数々が、約1.1×2.4メートルという大判の手漉きの伊勢和紙にプリントされ、独特の味わい、質感とともに迫ってきます。
中村吉右衛門丈の写真を10年以上にわたって記録し続けているのは、「家庭画報」や「きものSalon」でも活躍している写真家の鍋島徳恭さん。
「吉右衛門さんとの最初の出会いは、2003年の家庭画報での撮影でした。その後、ご縁あって2005年に舞台を撮影する機会をいただいた時に、吉右衛門さんの表現方法、心の動きに衝撃を受けたのです。舞台にいたのは、“中村吉右衛門” ではなく、芝居の登場人物そのものでした。吉右衛門さんが体全体、心全体で表現されているお芝居を受け取り、記録として残していきたいと考え、毎月撮影に入ることをお願いしました」。
©️鍋島徳恭2006年から、歌舞伎座や国立劇場、新橋演舞場といった東京での公演はもちろん、京都四條南座、大阪松竹座、名古屋御園座、博多座、地方公演まで、吉右衛門丈が出演するすべての舞台を記録した中から選りすぐられた作品は、昭和、平成を代表する名優の足跡として、歌舞伎の歴史の貴重な資料となることでしょう。