――ご自身の学習障害についても書かれていますね。
「落語の“まくら”のようなつもりで書きました。そういう障害を持っているのが僕という人間で、だからこそ人生に思い悩んで、幸せについて考えたり、スピリチュアルなものに惹かれたりしながら、ここまでやってきたのは確かなので。でもそれは、あくまでも序文で、本編では僕の落語会にいらした皆さんを対象にした笑いの実験の話や、笑うと免疫力がアップするとか、血糖値が下がるとか、そういったことをまとめて紹介しています。自分が実践していることを書いたので、失敗談も多いですけど(笑)」 漢字が覚えられず、子どもの頃は随分怒られたという。「泣きながら漢字ドリルをやりましたよ」。
――ご自身の学習障害のことを知ったのは、つい数年前のことだとか?
「3、4年前です。あるテレビ番組で、子どもの頃、音楽と図工と体育以外の成績がとんでもなく悪かったことを話したら、視聴者の方から、ディスレクシア(識字障害)ではないか、というメールをいただきまして。目から鱗といいますか、そうか、だから僕は昔から、読み書きが極端に苦手だったんだ!と腑に落ちました。それで、この本にも自分の子どもの頃の通知表を載せたんです。こりゃ、本当にひどい!って、一目瞭然ですよ(笑)」
――ご自分で本を書かれることは、大変ではなかったのでしょうか?
「時間はすごくかかりました。でも、人に聞き書きしてもらうのではなく、自分で書きたいと思ったんです。今でも書けない漢字は色々ありますが、昔と違ってパソコンに打ち込めば変換してくれますし、何より、読み書きが不得手なのは、自分の努力が足りなかったからじゃないとわかって、気が楽になったことがあると思います。改めて、落語家になってよかった、天職なんだなと、感じますもん。師匠の噺を聴いて覚えて、人前でそれをしゃべる仕事ですからね(笑)」