お芝居が大好きなフィンランド人。とっておきのシアターは満員御礼
「アモス・レックス」の上階にある映画館「ビオ・レックス」。オープンした1936年当時の内装を修復により再現する。幻となった40年ヘルシンキ五輪のために作られたネオンサインが灯る。映画『かもめ食堂』の撮影時、小林さんはヘルシンキに1か月ほど暮らし、主人公のサチエを演じました。
俳優生活の中でもひときわ縁の深いフィンランド。この国の人々にとっても演劇はとても身近な娯楽です。
「国民1人あたりの年間の観劇回数は世界屈指。アマチュア劇団の活動も非常に盛んだそうです」と小林さん。
スウェーデン統治下の1748年、海上要塞が建設されたのが、この島の歴史の始まり。現在は観光地でありながら800人のヘルシンキ市民が暮らす。1991年ユネスコ世界遺産に登録。個性的な劇場や映画館が多数ある中、白夜の季節は屋外劇場が大人気。その1つがスオメンリンナ島のサマーシアターです。
「城壁の中に劇場があるなんて想像もつきませんでした」という小林さんを、上演中の『オリエント急行殺人事件』の主演俳優、クリスト・サルミネンさんが場内へと誘います。
楽屋小屋前に停まる三輪トラックには、サルミネンさんが扮する“名探偵ポアロ”のポスターがラッピング。オリエント急行のセットが組まれた舞台にて、サルミネンさんと小林さん。サルミネンさんはご両親、奥さまも俳優。舞台の前後を客席が囲み、場面転換は暗転せずに行うなど、装置も演出も独特。
「毎回、実験的なことに挑戦できるのがこのサマーシアターの素晴らしいところ。世界遺産をこんなに自由に使わせていただけることに感謝をしながら舞台に立っています」。
サルミネンさんの言葉に耳を傾けながら「いつかこんな舞台に立てたら幸せですね」と小林さんも感慨深げです。
【美術館・映画館】
アモス・レックス
美術館「アモス・レックス」の館内。コンテンポラリーアートの企画展にも注目が集まる。映画館も隠れた名所。Amos Rex
住所:Mannerheimintie 22‒24,00100 Helsinki
TEL:+358-9-68444633(予約専用、月曜・水曜・金曜13時~16時)
開館時間:11時~18時(水曜・木曜 ~20時、土曜・日曜 ~17時、最終入館は閉館45分前)
休館日:火曜(ショップは無休)
URL:https://amosrex.fi/
※美術館は地下1階。写真の映画館「ビオ・レックス」は2階にある。【屋外劇場】
スオメンリンナ島 サマーシアター
城壁が囲む劇場の外観。Suomenlinnna open teatre
ヘルシンキのマーケット広場東端から出発するフェリーに乗船し、約15分。劇場へは港から徒歩15分程度。
6月~8月に開催し、演目は毎年変わる。
上演はフィンランド語のみ。
URL:https://www.suomenlinna.fi/ja/ 〔特集〕愛されるデザインと心豊かな時間「北欧の美しき暮らしを訪ねて」(全10回)
表示価格はすべて税抜きです。
撮影/本誌・坂本正行 スタイリング/藤谷のりこ(小林さん) ヘア&メイク/北 一騎〈Permanent〉(小林さん)コーディネート/森下圭子 取材協力/フィンエアー、ホテル ヘイブン、ヘルシンキ・マーケティング、ヴィジット・ポルヴォー
※電話番号の358はフィンランドの国番号です。日本から電話する場合は最初に国際電話会社の番号、次に国際電話識別番号010(auからは不要)を加えてください。1ユーロ=121.80円(2019年7月11日現在)
※施設の最新情報は各HPを参照されるか、または直接各施設にお問い合わせください。
『家庭画報』2019年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。