《浸水する》ボウルで浸水?ざるに上げて浸水?
右:とぎ上げは底に高こう台だいがついたざるだと、浸水のむらが出にくい。左:浸水時間が長すぎるのは不味のもと。適切な時間で。ふっくらつややかなご飯に炊き上げるには、米の芯まで吸水させることです。
米の容量の1.2倍の水に夏は30分、冬は1時間の浸水が目安。半透明だった米が中心まで白くなれば、十分に吸水した証です。
「浸水は炊飯鍋やボウルの中で水に浸す“とぎづけ”、といだ米をざるに上げて水分を浸透させる“とぎ上げ”の2つの方法があります。もともとの水分量が多い新米は、とぎ上げにするとよいでしょう。同じ米でとぎづけ、とぎ上げの両方を試してみて、おいしく炊き上がったほうで判断してください」(柳原さん)。
《炊き上げる》「初めちょろちょろ、中パッパ」「赤子泣いても蓋取るな」は今どきの炊飯にも当てはまる?
10分の蒸らしの後、鍋肌にしゃもじを当て、鍋肌にご飯がつかなければ蒸らしは完了。ご飯の上下を返して空気を入れ、全体の水分を均一に仕上げる。炊飯は、ゆっくり加熱するよりも、一気に高温に達してお米をアルファ化させたほうがおいしくふっくらと炊き上がるといわれています。
「“初めちょろちょろ、中パッパ”は竈に釜をかけていた時代、小枝などで焚きつけてちょろちょろと燃やし始め、徐々に薪まきに火がつき、火力が上がって釜の中が沸騰するさまを表したもの。現代の台所では初めから強火でいいのです」(柳原さん)。
一方、「赤子泣いても蓋取るな」については、「炊飯鍋が火にかかっている間は中の様子をみるために数秒蓋を開けても大丈夫。蓋を取ってはいけないのは火を止めた後、蒸らしているときです」。
浸水と炊飯を経てふくらんだ米が、蒸らす間にさらにふくらむ大切な時間です。
「蒸らしが終わって蓋を開けるときもご注意を。蓋裏に水滴がたまっていますので、勢いよく開けると水滴が落ちます。せっかくのご飯が台無しにならないよう気をつけましょう」。
右:吸水性のある木蓋でない限り、蓋裏には水滴が溜まる。左:横にスライドするようにそっと蓋を開けることを心がけたい。 〔特集〕進化した新顔のブランド米を楽しむ 美味なり、日本の「米」(全4回)
撮影/久間昌史
『家庭画報』2019年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。