牡丹は改良が重ねられている。写真は椿の名を冠した人気品種の「八千代椿(やちよつばき)」。珍しいのは緑の花の「豆緑(とうろく)」。「初瀬の巒月(はつせのらんげつ)」は紅紫色の花で2000(平成12)年に長谷寺で生まれた品種。
江戸時代の牡丹の記録『長谷寺牡丹品種画帖』
江戸時代中期~後期に作られた画帖で、絵師や制作者は不明だが、一折りに1種の牡丹が描かれ、品種名を記している。全部で50種類の牡丹が描かれていて、今日では失われた品種もあり、また改良前の原初の花の形態を知るうえでも貴重な資料となっている。 通常は公開されていないが、年によっては長谷寺の「寺宝展」に出展されることもある。
Information
長谷寺(はせでら)
奈良県桜井市初瀬731‒1
- 奈良時代、686(朱鳥元)年創建の真言宗豊山派総本山。平安時代中期以降、観音霊場として信仰を集めた。観賞用の牡丹は長谷寺が初めといわれる。ぼたんまつり(4月中旬~5月上旬)、ぼたん献花祭(4月中旬)も行われる。
「家庭画報」2014年5月号特別付録掲載。 この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。