がん細胞が免疫にブレーキをかける物質に作用し、 自分の免疫を賦活してがん細胞をやっつける
「免疫チェックポイント阻害薬」
これまでの薬とは全く異なるしくみでがんと闘う免疫チェックポイント阻害薬が肺がんの新しい治療法として注目されています。
肺がん全体の9割を占める非小細胞肺がんは、組織の形態によって扁平上皮がん(約2割)、非扁平上皮がん(約8割、その大部分は腺がん)に分類されます。いずれも比較的早期の場合は手術が治療の中心となるのに対し、手術ができないほど進行している場合には薬物療法の対象となります。
肺がんの治療に使われる免疫チェックポイント阻害薬は、2017年10月現在、ニボルマブ(商品名オプジーボ)、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の2つで、いずれも抗PD-1抗体薬と呼ばれる薬です。がん細胞の表面にはPD-L1という分子があり、これが免疫細胞のT細胞表面分子PD-1と結合するとT細胞を逆に攻撃してしまいます。そこでPD-1とPDL1が結合しないようにして免疫の力を保ち、がんを攻撃するのが抗PD-1抗体薬です(下イラスト)。
免疫を賦活する免疫チェックポイント阻害薬
免疫細胞の一つであるT細胞はがん細胞の表面にあるがん抗原を認識して、その細胞を攻撃する。一方で、がん細胞はT細胞の表面分子PD-1にPD-L1という分子を結合させる。そうするとT細胞ががん細胞を攻撃しなくなる。
ニボルマブやペムブロリズマブのような抗PD-1抗体薬は、T細胞のPD-1にがん細胞のPD-L1が結合しないように先回りしてPD-1に結合する。これによってT細胞はがん細胞を攻撃する力を失わずにすむ。