ダライ·ラマ法王14世の
思いやる心を育む言葉
84歳の現在も、世界各地で愛と慈悲の心を説き、世界平和のために尽力されているダライ·ラマ法王14世。その言葉の数々は、私たちに不安な時代を生きるためのヒントを与えてくれるでしょう。
※『いのちの言葉』(世界文化社)より2019年12月、インド・カルナータカ州の修道院で人々の声援に応えるダライ·ラマ法王14世。撮影/Lobsang Tsering「この世を去るとき、自分の生涯を振り返って、『人を傷つけずにすんだ』と思えればいいですね。」
「心が前向きであれば、たとえ四方を敵に囲まれていても心の平穏を失うことはありません。」
「私たちは、自分だけのため、自分の家族だけのため、自分の国家だけのため、にではなく、人類すべてのために働くことを学ばなければなりません。」
「経済は大切です。しかし、人間はもっと大切です。」
「すべての生きとし生けるものを慈しむ心は宝のように尊い感情であり、私たち自身の幸せの源です。」
「身が危険にさらされているような怖れを抱いているならば、横になっているときにお釈迦様の膝の上に頭をのせていると想像してみるのもいいでしょう。」
「世界に苦しみがある限り、いのちあるものが苦痛に耐えている限り、願わくば私もまたこの世にとどまらんことを。この地上の苦しみを取り除くために」
「今私たちに必要なのは、この世界に生きている60億の人間たちが自分の兄弟姉妹だと考えることです。この60億の人間たちはひとりの人間だという点でみな同じです。幸せを願い、苦しみたくないと思っている同じ人間なのです。
どこの国の人か、どの宗教を信じているのか、そういう二次的な違いは問題ではありません。すべての人たちが、地球という同じ惑星に住んでいる1つの人間家族なのですから、世界の60億人の幸せを考えることが大切です。
人類はみなひとつだと考えることが今の私たちに求められていることであり、これが悲劇を回避する究極の答えだと思います。」
『家庭画報』2011年2月号での取材時にダライ·ラマ法王14世が綴った直筆メッセージ。何度か手を止めながら、とても丁寧に書いてくださった。読者のみなさま、こんにちは。私たち人間はすべて、生まれながらに宝物を持っています。それは、人を思いやる温かい心です。その宝物の存在に気づき、大切にしてください。釈迦の弟子 ダライ・ラマ 2010年11月13日 〔特集〕不安な時代を乗り切るメッセージ「心をつなぐ言葉」(全7回)
取材協力/ダライ・ラマ法王日本代表部事務所カトリック中央協議会
『家庭画報』2020年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。