寒い時季には寒いところへ、第2弾! 真冬ならではの地のジビエ料理をお目当てに、今回は憧れのグランピングへ。グラマラスで美味溢れるアウトドア体験は、凛として穏やかな森の時間を知ることでもありました。
グランピングのハイライトは、冬の森の中で味わうジビエ料理夜の森はとても静かです。森の中でゆっくりと時間を過ごす機会なんて、そうそうあるものではありません。ましてや冬の夜。冴え冴えと冷たい空気は思いのほか気持ちがいいし、夜の森のなんと自然の音に満ちていることでしょう! そんなことを気づかせてくれた「星のや富士」の野外ダイニングは、特別なディナー空間が森の中に設けられています。森の中に張られたタープの下でいただく”ダッチオーブンディナー”は、まさに「グランピング」ならではの贅沢といっていいでしょう。
冬のダッチオーブンディナーのメイン料理。焼き目をつけたあと、蒸し焼きにすることで、鹿肉独自の柔らかさを堪能できます。冬の鹿肉は一年でもっともクセが少なく、食べやすい味わい。
メインとなるのは、狩猟肉(ジビエ)。一流の地元の猟師さんから譲り受けた、この地ならではの上質な鹿肉と猪肉です。「ジビエのおいしさは、どれだけ適切な技術とスピードで処理をされたかで決まってきます。私どもがお付き合いさせていただいてる猟師さんは、ベテランの大名人。今までジビエが苦手だった方でも、一口召し上がれば、きっとその魅力をわかっていただけると思います」(料理長 金井 雄二さん)。
ダッチオーブンディナー、冬のテーマは「丘陵の山ごもり」。寒い季節に向けて、秋から熟成させた肉、発酵させた調味料、そして根菜類がディナーを彩ります。外での食事だけでも楽しいものですが、ここはグランピングの地。ダッチオーブン料理のいくつかは、最終仕上げを自分たちで行います(でもグランピングマスターがサポートしてくれるから、大安心!)。
炒めた野菜にコンソメを注いでスープを仕上げたり、ダッチオーブンの藁に火をつけて猪肉のベーコンを炙れば、夜の森に広がる温かく香ばしい香り。料理に合わせて供される地元のワインもついつい進んでしまいます。「猪は脂がおいしいんですよ」「猪と鹿だったら、どちらがグルメだと思いますか?」。料理の合間のグランピングマスターのお話も、ジビエ気分を盛り上げてくれます。
猪肉の持ち味である脂の旨味を熟成させたハム。藁で燻して、たたき風に仕上げ、ジャーサラダとともにいただきます。
「スキレット」には、新鮮な鹿肉だからこそ提供できる内臓も登場。そしてメイン料理は、蓋をグリル替わりにして焼き上げる鹿ロース肉。柔らかく火の入ったしっとりとした鹿肉に、根菜の味の深いこと! これほどラグジュアリーで快適なアウトドア料理が体験できるとは。まだしばらく冬の森で過ごすことにしましょうか。
レバーや心臓なども使った「鹿肉ときのことトマトの煮込み」。余すところなく、無駄なく美味しく味わうことも、ジビエ料理の大切な役目です。
(ちなみに鹿と猪では、猪のほうが美食家だそうです。「どんぐりは芽が出ると実のえぐみが取れるそうなんです。猪はそれを知ってて芽が出るのを待つんですって」byグランピングマスター)
食後は「星降る森の空中テント」で寛ぎのひとときを。電気ブランケットとオリジナル防寒コートで、寒さを感じることはあまりありません。