美味なり日本の米 第3回(全4回) 続々と登場するブランド米。気になっているかたも多いのではないでしょうか。本特集では個性豊かな新顔をチェックします。また、おいしい米を手に入れたら、よりおいしく炊きたいもの。炊飯方法にまつわる情報が溢れる今だからこそ、最高においしいご飯への近道となる「炊飯の基本」をご紹介します。
前回の記事はこちら>> 「ご飯は煮炊きの基本」の信念のもと日々教鞭をとる近茶流宗家・柳原一成さんに、炊飯の素朴な疑問にお答えいただきました。
柳原一成(やなぎはら・かずなり)さん
近茶流宗家。東京農業大学客員教授。東京・赤坂の柳原料理教室で日本料理を指導する一方、自ら野菜を育て、魚を釣り、日本全国の食材を訪ねてまわるなど、食材そのものへの研究にも力を注いでいる。《精米する》米をおいしく食べられる期間は?
脱穀し、乾燥させたのが籾付き米。籾を外したのが玄米。ぬかを落とし、精米したのが白米。おいしいご飯を炊くうえで最も重要なのが、精米から時間をおかないこと。「精米前の玄米がまとう“ぬか”は米を守る鎧のようなもの。
精米をして鎧を外した瞬間から米の酸化や乾燥が始まります。
家庭用の精米機をお持ちのかたは、食べるぶんだけ精米するほうがおいしく食べられます」(柳原さん)。
お米屋さんで購入する際にはできるだけ短い期間で食べきれる量で。袋に記載されている「精米年月日」と「生産年」の確認をお忘れなく。
《米をとぐ》米は「とぐ?」「洗う?」
米をリズムよく、やさしくとぐには、受け止める桶やボウルの安定感も大切。柳原さんはボウルよりずっととぐのが楽な“炊かしき桶おけ”を使って米をといでいる。米を割ってしまうことなく、いかに上手に吸水させるか。炊飯前の準備ではこのことを考えながら米をやさしく扱い、短時間でとぐことを心がけます。
近頃は精米技術が向上し、米はとがずに洗う程度でよいという情報もありますが、
「私は米をとぐことをおすすめします。といでぬかを落とすことで、炊き上がりはつややかになります。ただし、とぐといっても力を入れすぎると米が壊れ、粉米(こごめ)が多くなります。
流しにごく小さな米の破片が流れるのは力の入れすぎです。猫の手のように軽く握り、手のひらでお米を摩擦させるようにリズムよくとぎます」(柳原さん)。
30回ほどといだら水を注いでさっとかき回し、水を捨てます。この作業を2回ほど繰り返し、水が透明になるまで数回水を入れ替えたら完了。