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花開く日本人バレエダンサー! 英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル 金子扶生さんの素顔

2022.02.18

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今、世界を魅了する輝きの舞台「華麗なる日本のバレエ新時代へ」 第3回(全6回) 「イタリアで生まれ、フランスで育ち、ロシアで大人になった」といわれる舞踊芸術、バレエ。発祥から数百年の時を経て、今、日本は世界有数の「バレエ大国」といわれています。世界の頂点に立つ日本人ダンサーの先駆けとして時代を拓いたレジェンド、吉田 都さん。海外の名門カンパニーでバレエの“現在(いま)”を舞い、スターダムを駆け上がる若き日本人バレリーナたち。それぞれの場所で芸術の花を咲かせる美しき5人の姿をお届けします。前回の記事はこちら>>

世界の名門バレエ団の頂点へ
花開く日本人バレエダンサー、その素顔


英国ロイヤル・バレエ団、パリ・オペラ座バレエ団、ハンブルク・バレエ団、マリインスキー・バレエ団。世界最高峰のバレエ団で、トップダンサーとして活躍する若き日本人バレリーナたち。2021年末、オンラインインタビューを通して伺った、彼女たちの“生の声”をお届けします。

英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル
金子扶生


金子扶生


撮影/Lara Cappelli

金子扶生(かねこ・ふみ)
大阪府出身。地主薫エコール・ド・バレエにてバレエを始める。2008年、ヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞。2009年のモスクワ国際バレエコンクール、2010年のUSAジャクソン国際バレエコンクールで銀賞を受賞。2010年、地主薫バレエ団に入団。2011年、英国ロイヤル・バレエ団に入団。2013年にソリスト、2018年にファーストソリストに昇格し、『ドン・キホーテ』のキトリ、『くるみ割り人形』の金平糖の精などの主役を務める。2度の大怪我を乗り越え、21年に最高位のプリンシパルに昇格。

ドラマティックな演技で観る者を夢の世界へ誘う新星プリンシパル


吉田 都さん、熊川哲也さんというバレエ界のスーパースターが最高位プリンシパルを務めた、英国ロイヤル・バレエ団。レジェンドたちの栄光を引き継ぐように、今、この名門バレエ団には3人の日本人プリンシパルが誕生しています。

その中の一人が、金子扶生さん。長い腕や脚を運ぶたびに美が匂い立つ、華やかな存在感と磐石な技術を備えたバレリーナです。

「入団して、舞台を観た瞬間から、『プリンシパルになること』が私の夢でした。でもここまでの道のりは、決して順風満帆ではなくて。だから昇格を告げられたときは、涙が止まりませんでした」。

金子扶生

演劇的な作品とダンサーたちの演技力が英国ロイヤル・バレエ団の最大の魅力。その象徴といえる『ロミオとジュリエット』のジュリエットはバレリーナにとって夢の役でもある。撮影/Bill Cooper

夢をつかむまでの道のりの中で


入団は2011年、19歳の時。プロを目指すジュニアのほとんどがまず海外留学をして就職の足掛かりを作る中、地元・大阪から直接、しかも世界のトップ・カンパニーに入団を果たした扶生さんは、当時バレエファンを大いに驚かせました。

2013年には早くもソリストに昇格し、『ドン・キホーテ』で全幕主役デビュー。しかしその舞台上で──膝の前十字靭帯断裂という大怪我が扶生さんを襲います。

「たった0.1秒ですべてがパン......と無くなってしまったような経験でした。なぜこうなったの?という後悔と、『辛抱』という言葉だけがずっと頭にありました」。

治療と苦しいリハビリを終え、やっと復帰したところで、今度はもう一方の脚に同じ怪我。手術と長期療養を余儀なくされたこの時期が、「これまでで一番つらかった」と振り返ります。

「でも、大切なことも学びました。それは、今の自分に何ができるかを考えること。周りの人と比べてしまったら、ネガティヴな気持ちになるだけ。それよりも今の自分に集中して、『歩けた』『今日はプリエができた』と進歩したことを数えようと決めたんです」
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