親と自分のために──知っておきたい認知症介護の話 第11回 認知症に向き合うには事前の備えが大切です。介護する側とされる側、お互いが幸せに過ごすために、さまざまな分野の専門家から具体的なアドバイスを伺います。
前回の記事はこちら>> 〔今月の専門家〕社会福祉士・介護支援専門員 岩澤 純(いわさわ・じゅん)さん特別養護老人ホームの介護職を経て在宅介護支援センターのソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)に。25年以上にわたり、さまざまな在宅介護サービスや介護施設の運営に携わる。元公益社団法人長野県社会福祉士会理事、社会福祉学修士。自治体から民間企業まで、認知症の人の暮らしを支える生活支援サービスがいろいろあります
介護保険サービスは要介護度に応じて支給限度額が決まっています。例えば、要介護度が最も軽い要介護1では1か月の支給限度額は5万320円で、最も重い要介護5では36万2170円です。利用者はケアマネジャーと相談し、支給限度額の範囲内で自分に必要な介護サービスを選択して使います。
「介護保険外サービスとは、この支給限度額の範囲を超えるサービスや介護保険ではカバーされないサービスのことです。介護保険が適用されると自己負担金は所得に応じて1~3割で済みますが、介護保険外サービスでは全額自己負担になります」と岩澤さんは説明します。
介護保険外サービスとして利用されることが多いのは訪問介護です。老々介護となる高齢者世帯では介護者自身も弱っていることが少なくありません。しかし、介護保険では家族の食事を作ることができず、そもそも同居家族がいると生活支援サービスは原則利用できません。そこで、介護保険外サービスの訪問介護を組み合わせることで介護者の生活も支え、共倒れにならないようにするわけです。
「認知症の人を在宅介護する場合、介護保険サービスだけでは足りないことも多く、世帯の暮らしを支える観点から介護保険外サービスを上手に使いましょう」