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耳より早い“眼”の衰え。「白内障」や「緑内障」になると起きること

2023.03.20

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「人生100年時代」といわれる今、予防医学が話題です。人間の身体のしくみや臓器の役割、病気についての正しい知識を身につけて、未来の大病を退けましょう。 人気Youtubeチャンネル「予防医学ch」を運営する医師の森 勇磨さんによる新著『怖いけど面白い予防医学』(世界文化社)の出版を記念し、家庭画報.comでは女性に多い貧血(前回記事>>)と、加齢とともにリスクが上がる眼の病気(この記事)について、本書から一部を抜粋・再構成してお届けします。 記事の終わりには本書のプレゼント企画もございます。ぜひご応募ください。

眼の衰えは耳より早い



文・森 勇磨(産業医・内科医)

耳とともに衰えていく感覚器官が“眼”だ。


高齢になってくるにつれて五感の低下を実感するようになるだろうが、眼は耳より早い段階で衰えを実感しやすいのではないだろうか。

年齢を重ねるなかで我々が直面する代表的な眼の病気は2種類。1つ目が“白内障”だ。

白内障:目のレンズが濁る



黄色の部分が「水晶体」。

白内障とは、「水晶体」と呼ばれる眼のなかでレンズの役割を果たしている場所が白く濁ってしまう病気のことだ。

年をとるにしたがって、レンズのなかに老廃物が蓄積していく。

澄んだ水晶体はレンズのピントを合わせ、眼の奥に映像を投影させるが、水晶体が濁っていくとだんだん視界がぼやけていく。

予防の話においては、白内障に効果が大きい方法があるわけではないが、「たばこは白内障のリスクを上げる」という論文があるし(1)、葉酸やビタミンC、ビタミンEをしっかり摂取することに予防効果があるかもしれない、くらいのデータは示されている(2)

また、視力の低下は認知症のリスクを上げるかもしれないという話もある(3)

はっきり根拠が確立されているわけではないが、目からの情報も耳からの情報もできるだけ入りやすくしておくに越したことはないだろう。

白内障についてインパクトが大きいのが“手術”だ。

どのような方法でおこなうかというと、白内障の手術では、なんと白く濁った水晶体をまるごと取り除いてしまう。

そしてレンズを吸収してぽっかり空いた隙間に、人工のピカピカのレンズを新たに入れ直すのだ。

この手術によって、今まで視界がぼやけて日常生活に多大なるストレスを感じていた人の視界が、見違えるように開けていく場合があるのだ。

こういった事実を知らずに見えづらい視界で苦しんで生活している人もいるから、よくよくこの事実は覚えておいてほしい。

緑内障:失明の危機



緑内障の見え方。左から初期→中期→後期と進行する。

2つ目が“緑内障”だ。

白内障は結局のところ、生活が不便になってきたときに手術をするかどうかだし、手術をすれば視力は改善することが多い。

しかし、緑内障の場合は失明する可能性がある病気なので、危機感を持ってほしい。

そして、緑内障ではいったん落ちた眼の機能が戻ることはない。

緑内障は、「視神経」と呼ばれる神経がダメージを受け、見える範囲がだんだん狭くなっていく病気だ。

視神経がダメージを受ける原因のひとつには、「眼圧」と呼ばれる眼球内の圧力が高くなってしまうことがある。

この場合、高血圧で血管がダメージを受けることを予防するために降圧剤を使用するように、眼圧を下げる薬を投与して視神経ができるだけダメージを受けないようにする治療をおこなう。

緑内障が進行すると、少しずつ視野が狭くなってくる。しかし、人間には眼が2つついているため視界を補いあい、症状として自覚するのはかなりあとになってしまうことも多いのだ。

「年をとったから眼が見え辛くなって当然」ではない。眼科でできることがあるかもしれないので、自己判断で放置しないようにしてほしい。

予防方法は?



・緑内障や白内障の症状は意外に感じ辛い。
→「老眼かな?」と思ったら一度眼科を受診するべし、くらいに思っておくとよい。

・人間ドックでは眼圧検査や眼底検査といった、緑内障などの早期発見につながる検査も用意されている。
→気になる症状がある場合はオプションで組み込んでもよいだろう。

怖いけど面白い予防医学

森 勇磨著 1870円/世界文化社

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森 勇磨
神戸大学医学部医学科卒業。藤田医科大学病院の救急総合内科にて救命救急・病棟で勤務。2020年「すべての人に正しい予防医学を」という理念のもと、現在の登録者数は40万越えの大人気Youtubeチャンネル「予防医学ch」をスタート。2022年、医療×IoTの実践を目指すオンラインクリニック「ウチカラクリニック」https://uchikara-clinic.com/を開設。
【家庭画報.com会員限定】プレゼントのお知らせ
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参考文献: (1)Leske MC, Chylack LT Jr, He Q, Wu SY, Schoenfeld E, Friend J, Wolfe J: Risk factors for nuclear opalescence in a longitudinal study. LSC Group. Longitudinal Study of Cataract. Am J Epidemiol 147 (1): 36-41, 1998 (2)Robertson JM, Donner AP, Trevithick JR: Vitamin E intake and risk of cataracts in humans. Ann N Y Acad Sci 570: 372-382, 1989 / Robertson JM, Donner AP, Trevithick JR: A possible role for vitamins C and E in cataract prevention. Am JClin Nutr 53 (1 Suppl) 346S-351S, 1991 (3)Allen T C Lee,et al.Higher Dementia Incidence in Older Adults with Poor Visual Acuity.J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2020 Oct 15;75(11):2162-2168. イラスト/ぷーたく 表示価格は税込みです。
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